2024年11月09日( 土 )

防衛省、佐賀空港のオスプレイ配備用地の取得決定、もはや軍事利用の歯止めなし

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佐賀空港 イメージ    陸上自衛隊が佐賀空港に配備を予定している輸送機オスプレイ。その駐屯地の建設予定地となっている空港西側の用地について、地権者らの協議会は1日、用地売却を決定した。今後、防衛省は用地買収と工事着手を早急に進めるものと見られる。現在、オスプレイは千葉県にある陸上自衛隊の木更津駐屯地に暫定配備されているが、暫定配備の期限は2025年7月までであり、佐賀空港駐屯地の早急な整備が必要な状況にある。

 佐賀県知事は、陸上自衛隊のオスプレイ配備については容認するものの、米軍の利用については容認しない姿勢を見せている。しかし、佐賀空港は、そもそも1990年に締結された県と有明海漁協との協定に付属する覚書で、「県は空港を自衛隊と共用する考えをもっていない」と記されていたものを、2022年に県と漁協の協議で「空港を自衛隊と共用できる」という内容に覚書を変更していた。

 このようにオスプレイ配備がなし崩し的に進行した経緯を見れば、佐賀空港のさらなる軍事利用と米軍利用も知事の胸三寸で決まるものであり、実質的に歯止めとなるものは何もないといえる。

 1998年に開港した佐賀空港については、かつて評論家の竹村健一氏が開港に先駆けた94年、県内で講演を行い、九州国際空港という構想を語っていた。話の内容としては、佐賀空港の滑走路を3,000m級にして、ジャンボジェット機の離着陸ができる国際ハブ空港にすること、さらに将来的には宇宙開発の拠点になることも見据えたスペースシャトルの離着陸もできるような滑走路整備の夢を語っていたようである。また、その他にも、福岡空港を旅客専用とし、佐賀空港を貨物専用とし物流拠点にするなどというアイデアを語る人もいた。

 その後、国際ハブ空港の夢は、隣国でインチョン空港として実現した。現状としての佐賀空港の民間利用の状況を見れば、将来的に軍事利用の比重がさらに大きくなる懸念をもたざるを得ない。

【寺村朋輝】

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