2024年12月22日( 日 )

党首の資質に欠く立憲・泉代表、そのままなら“崩壊”へ

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 野党第一党の党首の資質に欠く泉健太代表が補選全敗でも辞任せず、次期衆院選まで居座ろうとしている。このままでは維新に野党第一党の座を奪われるのは確実で、いまや立憲民主党は崩壊寸前に追い込まれていると言っても過言ではない。

 即断即決能力の欠如が露わになったのが5月12日の会見。この場でも、5月10日の両院議員懇談会で述べた「衆院選で150議席未満なら辞任」発言を繰り返したが、あまりに遅い決断に唖然としながら、次のような声かけ質問をした。会見中は指されなかったためだ。

両院議員懇談会での泉代表挨拶
両院議員懇談会での泉代表挨拶

    ──馬場代表の猿真似じゃないですか。(次期総選挙での)150(議席)、1.5倍というのは。なぜ、もっと早く決断しないのか。統一地方選と補選のときに(代表辞任の目標設定を)決断しないのかと聞いたら、「維新の真似をするのか」と言ったではないか。決断が遅すぎるのではないか。

 泉 (無言のまま立ち去る)

 「馬場代表の猿真似」「決断が遅すぎる」と言ったのは、すでに泉代表会見で何度も馬場代表の真似をしないのかと聞いていたからだ。馬場代表が統一地方選で地方議員数を現在の約1.5倍(600人)に増やせなかったら代表を辞任すると表明したのは昨年の夏。野党第二党のトップが退路を断った目標設定したのだから泉代表も当然、引責辞任の勝敗ラインを示すに違いないと思ったが、その気配は皆無。そこで、維新との連携重視を鮮明にした1月13日の会見で次のように聞いた(1月19日付記事「維新との連携で“ゆ党化”する立民泉代表、安倍派にも同調」紹介)。

 ──維新との連携強化で支持者が離れて統一地方選で敗北した場合、泉代表は責任を取って辞任するのか。馬場代表は目標をちゃんと設定して辞任すると明言しているが、これだけの立民の大路線変更をして責任を取らないというのはあり得ないと思うが・・・。

 泉 維新のことをいろいろと攻撃をされるような発言の一方で、馬場さんのその部分だけは評価をされるというのは「面白いな」と思いましたが、立憲民主党としては、統一地方選についてはとにかく現有議席を上積みしていく。その目標に向かって頑張りたいと思います。

 馬場代表の引責辞任の目標設定を紹介した私の質問を「面白いな」と泉代表は茶化すだけで、自ら退路を断とうとしなかったのだ。統一地方選に向けた両党の本気度の違いを目の当たりにした瞬間でもあり、このころから「維新躍進、立民低迷」という結果は予想してもいたのだ。

 2月19日の党大会でも泉代表の覚悟なき姿勢に変わりはなかった。

 ──維新との連携強化で支持率が下がって地方選で伸び悩むと。(統一地方選で引責辞任の)目標設定はしないということだが、(衆参)補選で全敗したときは代表を辞める考えはないか。

 泉 支持率は一進一退です。辞める考えのあるなしというのは、答えるつもりはない。

 ──全敗でも責任論に発展するかどうかは、はっきり明言しないと。

 泉 答えるつもりはない。

 補選全敗でも代表辞任を明言しなかった泉代表と引責辞任ラインを明言した馬場代表──両党で明暗が分かれたのは、トップの本気度の違いが主要因としか思えない。このことを補選全敗で自覚した泉代表が、半年以上も遅れて馬場代表の猿真似(後追い)を始めたというのが今回の泉代表発言の真相なのだ。

 この決断の遅さだけでも「代表失格」の烙印を押されても仕方がないが、そんな“猿真似党首”に優しい眼差しを向けたのが『日刊スポーツ』。「維新の成功体験が目標設定に影響?立民泉代表の『衆院選で150議席未満なら辞任』表明の唐突感」と銘打った5月14日の記事で、会見で何度も突き上げられたことに触れずに次のように紹介したのだ。

「(維新の馬場代表は)議席の大幅増へ退路を断ち、自身の覚悟を示した。当時は懐疑的な見方もあったが、結果的に維新は統一地方選で議席を774人まで増やし、目標を達成するとともにさらに勢いを増した。野党第1党を争うまでになった維新の躍進ぶりが、もし泉氏の闘争心に火を付けたとするなら、なんとなく理解できる部分はある」

 かなり同情的な捉え方ではないか。より正確に表現すれば、「馬場代表の決意表明で維新躍進の兆しがあったのに泉代表は、同様の覚悟を示さない職務怠慢を続けた挙句、統一地方選と補選で維新との違いを見せつけられて初めて猿真似を始めた」となるに違いない。

    泉代表の致命的欠陥は、決断が遅すぎることだけではない。合理的思考能力が欠如していることもある。このことを実感したのは、4月28日の泉代表会見。補選全敗の原因について聞いたときのことだ。

 ──千葉5区では共産党の票を足せば勝った計算になるし、枝野前代表の野党四党態勢、共産党を含めて野党連携(候補一本化)をしていれば、千葉5区では勝てたのに、泉体制になって後退させたのが敗因になった可能性が高いと思うが、それでも辞めない理由を教えて欲しい。

 泉 野党の力を足せばと言いますが、それが単純にいかない状況にある。

 ──共産党の票を足せば千葉5区では勝っていた。共産やれいわや社民との連携を強化する方向に方針変更をする考えはないのか。

 泉 まず足せば勝っていたというのは推測ではない。それはただ単に選挙が終わった後の数字の足し算をしただけであるので、政治はそう簡単に足し算が通じるものではないと思う。

 ──(立民が)無党派層で自民党を上回っていたのに補選全敗は何らかの原因があるはずで、それは両院議員総会を含めて議論をして、代表を含めて執行部を刷新するのかを判断すべきではないのか。

 泉 党の運営の話なので、我々のなかで決めていきたいと思う。

 千葉5区の敗因分析も、共産党との候補者調整に全力を尽くさなかった自らの職務怠慢を棚に上げ、同じ失敗を繰返さないようにする軌道修正さえ否定する支離滅裂なものだった。現実を直視して方針変更する合理的思考能力が欠如していることも実感することにもなった。

 一方、山口2区補選では共産党との選挙協力(候補者調整)が実現、立民公認ではなく無所属で出馬した平岡秀夫候補(元民主党)が惜敗率9割と大善戦をした。告示日には立民だけではなくて、共産党やれいわ新選組の国会議員が駆け付け、枝野前代表時代と同じように共産を含む野党連携が復活していたのだ。

 泉代表が山口2区補選での大善戦に目を向ければ、枝野前代表時代の「野党四党連携(共産党を含めて野党の選挙協力・候補一本化)」に再び戻ることが党勢拡大に不可欠と気が付いても不思議ではない。しかし泉代表は、補選全敗の現実に直視をして軌道修正することを拒否、共産党との連携(選挙協力)はしないと言い続けているのだ。

 立民の党勢減退を招いても代表に居座り続ける泉代表――合理的思考能力に乏しく決断力にも欠く野党第一党党首を交代させるか、あるいは、党内外から突き上げて枝野前代表路線(野党四党連携)に軌道修正させない限り、かつての社民党のように弱小野党に転落していくのは確実だろう。そんな崩壊の瀬戸際にあるのは間違いない。

【ジャーナリスト/横田 一】

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