【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(番外編)】「子ども病院跡地活用事業」で病院棟の設計見直し&再入札?!
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「こども病院跡地活用事業」(福岡市中央区唐人町)について今年1月、積水ハウス(株)を代表とする積水ハウス・(学)福岡大学(以下、積水・福大)のグループが優先交渉権者として選定されたことは、本サイトでも既報(「唐人町のこども病院跡地、積水・福大グループが優先交渉権者に」)の通りである。病院棟(内科総合病院、117床)、健康プラザ、分譲マンション(2棟、合計222戸)、防災備蓄倉庫も具えたコミュニティハウスなどからなる開発計画で、2027年春以降に順次開業することとなっている。
同事業の公募にあたってはほかに2グループが提案書を提出していたが、積水・福大グループは土地の購入価格として最高となる122億円の提示額、地域への貢献性などが評価され、優先交渉権を射止めた。なお、他2グループの提示金額は、各々90億7,700万円と60億5,000万円であった。
ところが、最近になって、気になる話が囁かれるようになった。この病院棟建設に関し、建築計画の見直しおよび再コンペが行われるかもしれないというのだ。その辺りの事情について、特別取材班が複数の情報筋から入手した情報や関係者の見立てを、ここで読者諸兄姉に報告しておきたい。
「まったくの別物」に化けた予算
福大の朔執行部は「こども病院跡地活用事業」への応募にあたり、当初予算として土地取得費用30億円、建物建設費用30億円の合計60億円を示していた。ところが、特別取材班が入手した福大の内部文書(中期経営計画)では、その金額が大幅に膨れ上がっていた。
中長期投資計画の中の「西新病院移転建替」が当該事業に当たるのだが、具体的には、土地取得費用42億5,000万円、建物建設51億円、医療設備9億6,500万円の、合計103億1,500万円。当初予算と比べ、40億円以上もの超過である。福大関係者の間ではかねてより「ふたを開けたらびっくり仰天、となるのではないか」と囁かれていたが、案の定、計画全体がまったくの別物に化けたといっても過言ではない。
もちろん、予算案の段階から計画の妥当性は疑問視され、理事や評議員からは承認反対の声が挙がっていたが、朔執行部はそうした声にまったく取り合わず、なし崩し的に承認を取り付けていったらしい。その後の経緯をみるに、当初予算案の「60億円」とは「学内向けのダミーの数字」(関係者)にすぎず、その後の予算膨張は彼らのなかで初めから織り込み済みだったのではと疑われる。
では、朔執行部がここまでこの大型投資案件に執着する理由はなにか。福大OBの経営者で、内部事情に詳しいある人物は、憤りを交えて次のように指摘する。「結局のところ、新病院というレガシーにこだわる朔学長の野望の表れですよ。今年行われる学長選で再選する気まんまんですし。だから採算性などはなから考えていませんし、福大にとって決してプラスになりません。」
学長の野望が積水に利用された?
実際、この案件に対する朔執行部の姿勢は実に無責任なものである。たとえば、「病床数117床」とは最も経営が難しいとされる病院規模である。それも「内科総合病院」にするとのことだが、山王病院、福岡記念病院、九州医療センターといった診療科目もスタッフも設備も充実している大病院が近辺に林立するなか、103億円もの投資を回収できる算段はあるのか。
これについて、朔学長の後輩でもある役職員の1人は「『周囲の病院とは得意分野が違いますから、かえって大丈夫ですよ。土地も値上がりするでしょうし、そうなれば含み資産が増えます』などと、まるで不動産事業者みたいな口調で役員たちに説明していた」とのこと(福大関係者談)。
採算の取れない西新病院の「新築移転」という意義づけで進められているが、同病院は朔学長の後輩医師の就職先として使われ、いまや“循環器内科専門病院”とみまがう様相を呈している。今回の新病院建設計画に「自分の植民地を新しくしたいという朔学長の個人的野望」(関係者)を感じ取る関係者は少なくない.
積水は福大学長のそうした虚栄心を見抜いたうえで手を組もうともちかけ、計画を立てて優先交渉権獲得につなげたのではないか──。そう推測する関係者もいる。
土地取得費用が当初予算の30億円から42億5,000万円に膨れ上がったのも、優れたビジネス感覚をもつ積水にうまく利用された結果ではないかとさえ、指摘する向きもある。ある関係者はこう話す。
「積水ハウスとしては、最適な規模の土地だけを確保して、2棟・合計222戸の分譲マンションを売り切りたいでしょう。上物と違って土地は、ともすれば事業の足枷になりかねませんから。だから余分な土地はパートナーである福大に引き受けてもらい、新しい病院が人々に与える安心感とか広々とした空間とか、マンション販売にとっての良い“背景”となってほしいと考えるのは、デベロッパーとして自然なことですよね。」
要は、福大は積水との協議の過程で、余計な土地まで買わされたのではないかというわけだ。真相はあくまで闇の中だが、先に触れた福大役職員の無邪気な口上も考え合わせると、この関係者談は不気味なまでの説得力を帯びてくるのではないだろうか。また、関係者の間で囁かれている、積水は福岡大学・高宮グラウンド(南区大楠)の取得も狙っているのではないかという憶測も、あながち的外れとは思えなくなる。
またもや異例中の異例!病院棟建設コンペのやり直し?!
そこへもってきての、病院棟の「計画見直し」および「建設コンペのやり直し」の情報である。設計事務所やゼネコンなどが建設費を福大側に改めて提示しての、再入札が行われる可能性があるとのことで、つまりは建物に関し、まったく基本的な部分からの再スタートになるということだ。
建設・不動産業界の事情に詳しいある関係者は、「優先交渉権が決定した後に計画見直しが行われるなど異例のことです。再入札なんて聞いたこともない」と驚きを以って話す。それも51億円もの案件の見直しだ。これだけ大幅な予算の見直しが行われるのは、まさに「異例中の異例」だという。
本シリーズでもこれまで報じてきた通り、朔学長は「リーダーシップ」と「前例やぶりをものともしないこと」とを混同しているふしがある。定年退職した後輩の前副学長に対する名誉教授授与拒否事件しかり、大学附属病院長人事しかり、基本設計まで完了していた「文系学部棟」建設計画の白紙撤回および清水建設との随意契約での医学部地区「多目的棟」としての付け替えしかり。そして、それらはいずれも、福大全体の利益と発展に資するというより、まずは朔学長の個人的利益に直結することだった。それが、今度は福岡市政も巻き込んでとあらば、到底看過できるものではない。
福大には毎年、国から私学助成金やコロナ助成金など巨額の補助金が注ぎ込まれている。それは学生と彼らの未来の社会のためのものであり、朔学長とその取り巻きたちのために注がれているわけではない。福大の、とくに毎年巨額の赤字を垂れ流すメディカル部門の財政改善を掲げるなら、ある教授も指摘する通り、「拡張にではなく、既存の体制・設備の改善と新たな道筋を考えることにリソースを振り向けるのが筋」ではないか。
しかも、建設業界は目下、資材価格や人件費がうなぎ登りに高騰している。建設中の福岡大学病院新本館がそうであるように、今回の「子ども病院跡地」での新病院棟建設についても追加予算云々という話になり、再入札のあかつきにはまたもや「ふたを開けたらびっくり仰天」の事態に陥ることは想像にかたくない。血税を無駄にさせないために、福大の動きには今後も引き続き注視する必要があろう。
【特別取材班】
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