2024年11月05日( 火 )

奢るヤマダ電機久しからず(6)

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驕る平氏の命運は

ヤマダ電機テックランド下関店<

ヤマダ電機テックランド下関店

 15/3月期決算では、消費税引き上げの影響を受けて、業界全体は減収減益に見舞われたが、営業努力の度合いによってその落ち込みには差が見られた。
 このなかでなぜ業界トップのヤマダ電機が1兆6,634億円(前期比▲2,296億円 ▲12.1%)と大幅な減収減益となったのだろうか。
 推測としては、ヤマダ電機の過去の顧客対応があまりにも杜撰だったつけが、顧客離れを招いたと考えられる。ヤマダ電機は「安心価格保証」を旗印に、他社との価格差を強調。その販売方法が功を奏し、急速にその売上を増やして家電量販店第一位の座に上り詰めた。しかし一方で、「日本一安く売っているのだから」との奢りが、知らず知らずのうちに、全社に蔓延していったのではないだろうか。

 最近知人たちと電気製品の話しをしているうちに、ヤマダ電機が話題になった。「ヤマダ電機で買っても故障した場合は、近くの電気屋さんに修理してもらっている。」、「ヤマダ電機では故障しにくい製品だけを買うようにしている」、「最近はアフターの良い別の家電量販店で買うことにしている」とかの話で持ちきりとなった。筆者にもヤマダ電機のアフターフォローについては、苦い経験がある。価格を求めるのならネット通販の方が安く手に入る時代である。今、消費者が家電量販店のリアル店舗に求めているのは、価格だけではなく、いざと言うときに安心してアフターサービスを受けられるかどうかに変わってきている。

 山田昇社長は創業以来「創造と挑戦」を経営理念とし、最近は「感謝と信頼」をCSRに加えていると語っているが、果たして社長以下経営陣は、顧客離れの実態を把握しているのだろうか。
 ヤマダ電機は今期120億円を投じて、直営の650店全店の改装を計画しているが、今ヤマダ電機に求められているのはハードの店舗改装ではなく、全店挙げてハート(真心)の「顧客サービスの徹底」を実践すべきではないだろうか。
 もしそれが実行できないのであれば、今の権勢は砂上の楼閣であり、その身は『驕る平氏久しからず』の命運を辿ることになるだろう。

(了)
【北山 譲】

 
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