李強中国総理、経済の現状に最新の見方示す(前)
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中国国家統計局が発表した2023年1~4月の経済指標を見ると、2022年同期に比べて貿易額は5.8%増で貿易黒字は56.7%増、また一般小売総額は8.5%増、外国資本の導入額は2.2%増でこのうち日本からの分が68.1%増となっている。いずれもかなり良好な数字である。
こうしたデータから、中国はすでに3年間におよんだコロナ禍から急速に脱却し、本格的に回復する段階に入ったように見える。
しかしその一方、北京、上海、深センなどで不動産価格が落ち込み、買い手が現れなくなった。民間企業の経営も苦しく海外からの受注が減り、アリババ、テンセント、シャオミなどのIT企業が大規模なリストラを行い、都市部で若者の失業率が27%に達している。中国経済ははたして上向きなのか、それとも下向きなのか。
国務院の李強総理は6月2日の常務会議で、関心の集まる目下の経済情勢に関する最新の見方を発表した。まず、今年に入っていいスタートを切ったが、回復の基盤はまだぐらついているという。 この見方は、好材料のなかに不安が交じる、という4月28日の中央政治局会議における基本的判断に沿ったもので、好材料とはいいスタートのことである。
今年に入って、社会的には本格的な回復が進んでおり、マクロ政策が功を奏し、需要の落ち込み、サプライショツク、先行き不安といった重圧も和らぎ、予想以上の経済成長をはたし、市場の需要も徐々に回復して景気は上向き基調になるという好スタートを切った。
不安なのは、基盤がまだぐらついていることである。このような経済の上向きは回復的なものであり、内側の力がまだ弱い。需要は依然伸びず構造改革を妨げるものも出て、質の高い発展を遂げるには乗り越えるべき課題が多い。国際環境も混沌としており、国内需要は盛り上がらず、経済を建て直す力が不十分である。
これらの表現は政府的色彩が強いものである。中国経済の目下の問題を簡単にいえば、以下のようになる。
1、国内市場が低迷している。不動産も家電の消費も極度の低迷状態であり、唯一明るいのは飲食業である。
2、輸出が落ち込んでいる。2022年は厳しいコロナ対策が講じられたことで多くの企業が活動を停止し、とくに部品メーカーが納品できず海外の購入先から取引中止を迫られたことで、2023年は海外からの受注が大幅に減った。
3、中国経済を支える三本柱の不動産、輸出、投資がぐらついている今、経済再建につながる新たな材料や起爆剤が見えてこない。
経済学者の任沢平氏は6月1日、「全力で経済に取り組むべき」との見出しで、「今は『経済を救うべきか』ではなく、『いかに救い、いかに早く強く救うべきか』だ」と強く主張している。
ビジネスライターの呉暁波氏もその前に、「内需を救うには不動産を救え」との見出しで「落ち込んでいる国内需要を活性化し、大きな投資や消費のたまり場を見出す、これを急ぐべき。各業種を見渡すと、すべてをよみがえらせるものは不動産以外にないだろう。よって、内需を救うには不動産を救うべきだ」と述べている。
(つづく)
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