2024年11月28日( 木 )

日本の警察・検察・裁判所の健全化のため、今こそ取調等全過程の全面可視化を!

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、「日本の警察・検察・裁判所の健全性は世界最悪だ。それらの不健全性を正すために今こそ取調等全過程の全面可視化が必要」と訴えた7月22日付の記事を紹介する。

 国家の健全性は警察・検察・裁判所の健全性で測られる。この基準に従えば日本は世界最悪の不健全国家の1つといえる。警察・検察・裁判所に対する信頼を置くことができない。暗黒国家そのもの。

 警察・検察・裁判所制度の前近代性を示す要因が3つある。第一は警察・検察に不正で巨大な裁量権が与えられていること。第二は刑事訴訟手続きにおいて基本的人権が無視されていること。第三に裁判所が政治権力の支配下に置かれ、裁判所が法の番人ではなく、政治権力の番人として行動していること。

 警察・検察の不正で巨大な裁量権とは、犯罪が存在するのに犯罪者を無罪放免にする裁量権と、犯罪が存在しないのに無実の市民を犯罪者に仕立て上げる裁量権のこと。政治権力に近い、天下り利権のある事業者に関連する犯罪は重大犯罪であっても無罪放免にする。政治権力に目障りな者に対しては犯罪をねつ造して無実の市民を犯罪者に仕立て上げる。言語道断の不正が日常茶飯事で繰り広げられている。

 刑事訴訟手続きにおいては基本的人権が無視されている。刑事訴訟手続きにおいては、罪刑法定主義、無罪推定原則、法の下の平等、適法手続きなどの諸原則が遵守されなければならない。しかし、現実には、これらの諸原則が完全に無視されている。裁判所は本来、法と正義に基づいて判断を示すことが求められる。しかし、現実には裁判官の人事権が内閣に握られていることから、大半の裁判官が法と正義に基づく判断を示さず、政治権力の顔色をうかがう判断を示す。かくして、日本の警察・検察・裁判所制度は完全に前近代に取り残されている。

 政治的敵対者に対する冤罪創作が後を絶たない。政治権力の側の人物、天下り利権を提供する事業者側の人物の犯罪はもみ消される、あるいは、軽微な犯罪にすり替えられる。政治権力に刃向かう人物に対しては冤罪をねつ造する、あるいは、軽微な犯罪が重大犯罪にすり替えられる。

 鉄道会社傘下のプロ野球チームの野球選手、歌舞伎界関係者の犯罪、内閣総理大臣の犯罪、経済団体幹部の犯罪はもみ消されたり、軽微な犯罪にすり替えられる。経済団体幹部の悪事を暴こうとしてきた元参議院議員などは軽微な犯罪を重大犯罪にすり替えられ、不当に長期勾留されている。内閣官房副長官の親族の重大犯罪はもみ消されようとしていると伝えられている。広島県で実行された公職選挙法違反事件に関連して検察の違法な捜査が明るみに出された。しかし、内容はまったく目新しいものではない。検察が取り調べに際して、違法な利益誘導を行うことは日常茶飯事。ジャニーズ事務所の重大犯罪と同じ程度に誰もが知る公然の秘密。

 警察や検察はさまざまな違法な利益誘導、脅迫を行って虚偽の供述を取り出す。かつては拷問によって虚偽の自白を獲得したが、現在は利益誘導と脅迫による虚偽の自白取得が主流である。法廷における証言も人為的に創作される。検察は公判廷に招致する証人に対して、事前に繰り返しリハーサルを行う。このリハーサルによって細部まで検察が証言内容を創作する。証人は法廷で暗記した台本通りに証言しているだけだ。

 このような不正を一掃するにはどうしたらよいのか。最重要の方策は「全面可視化」である。すべての場面を可視化すること。被疑者の取調べ模様だけではない。被害者、目撃者、その他すべての関係者と警察・検察との接触場面のすべてを録画・録音し、開示すること。この「完全可視化」がない限り、警察・検察の不正はなくならない。警察・検察の不正=重大犯罪が何度も明るみに出ているにもかかわらず、警察・検察の重大犯罪を一掃するための方策が何1つ決まらない。

 このまま日本を暗黒国家のまま放置するのか。抜本的対応が求められている。

※続きは7月22日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「全課程全面可視化が必要不可欠」で。

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