理不尽と不条理に包まれる現世
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、スポーツの世界でも政治の世界でも、わずかな違いが人生を大きく分け隔てる原因となると指摘した7月27日付の記事を紹介する。
大相撲名古屋場所で関脇の豊昇龍が優勝して大関昇進を決めた。戦績は12勝3敗。北勝富士との優勝決定戦に勝利しての優勝だった。
しかし、この勝敗数には疑問が存在する。初日の豊昇龍と翔猿の対戦で翔猿の右手が土に付く前に豊昇龍の左手が土に触れていた。軍配は豊昇龍に上がり、物言いもつかなかったが、実際には豊昇龍の左手が先に土に着いていた。
この勝負で豊昇龍が負けとなっていれば豊昇龍の戦績は11勝4敗。北勝富士が初優勝を遂げていたことになる。
初日のこの一番が名古屋場所のカギを握ることになるとの予感を保持したが、現実のものになった。豊昇龍に責任があるわけでないが、豊昇龍は自分の手が先に着いていたことを自覚していただろう。
行司の差し違いはあり得ることで、土俵下の審判部員が物言いを付ける必要があった。物言い後の協議にはビデオ映像の情報が生かされるから誤審を防ぐことができたはずだ。
3人の関脇の大関昇進がかかる名古屋場所であり、大関昇進候補の豊昇龍の初日黒星が興行上望ましくないとの判断が物言いをつけなかった理由だと思われる。しかし、勝負判定の正確さ、厳密さがなければ相撲興行の醍醐味に水が差されることになる。
夏の全国高校野球選手権が各地で決勝戦を迎えるタイミング。7月26日には神奈川県で横浜対慶応の決勝戦が行われた。
5対3で横浜がリードして迎えた9回表の慶応の攻撃。無死一塁の場面で打球は二塁手の前に転がった。ボールは二塁、一塁へと送球されたがオールセーフとなり、無死一塁二塁に転じた。二塁で送球を受けた遊撃手は右足つま先でベースタッチしたように見えたが塁審の判定はベースタッチしていないとしてセーフ。この後慶応の三番打者がホームランを打ち、慶応が6対5に逆転。そのままゲームセットを迎えて慶応が甲子園出場をはたした。
遊撃手のつま先でのベースタッチがあったのかどうか。ネット上に提供されている動画でも判定は難しい。慶応が甲子園出場をはたし、横浜はつかみかけた3年連続夏の甲子園出場を逃した。
慶応高校では元プロ野球選手清原和博氏次男がチーム入りしており甲子園出場のチャンスを得ることになった。
真剣勝負のスポーツの世界。微妙な判定が選手生命を大きく左右することがある。審判等の判定は重大な意味を有するから、興行主は万全な判定を行うことに重い責任を負っている。
※続きは7月27日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「理不尽と不条理に包まれる現世」で。
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