2024年12月23日( 月 )

自由なアイデアから生まれるヒット商品の数々 感度高きトップと社員力で新たな道を切り拓く

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(株)三和通商

定番を超える商品を目指して
主軸のメーカー事業に注目が集まる

(株)三和通商 代表取締役社長 阿部 伸司 氏
(株)三和通商
代表取締役社長 阿部 伸司 氏

    時流を先取りしたアイデアで売れる商品をつくり、最新のテクノロジーを駆使して作業効率を常にアップデートする。それが働きやすさにつながり、社員全員で会社を盛り上げる。まさに理想の会社だろう。そんな理想を体現しているのが、福岡を拠点に活躍する(株)三和通商。同社を率いるのは、今年40歳を迎える若き代表取締役社長・阿部伸司氏。自社商品開発やOEM事業、太陽光発電事業を柱に売上を伸ばしている成長企業だ。名刺代わりの自社商品としては、11年連続でモンドセレクション金賞を受賞している看板商品の「なた豆すっきり歯磨き粉」がある。化粧品や健康食品、生活雑貨など豊富なアイテムを開発・販売している。ドラックストアや量販店などで目にしたことがある人も多いのではないだろうか。

 同社のそんな自社ブランド商品は注目を集めている。前述の歯磨き粉のようなヒット商品が生まれる背景として、社員がつくりたいと思うものを全面的に支援するという自由な社風がある。これまでのノウハウを生かしながら、しっかりとしたマーケティングのうえに社員たちの自由な発想が重なり、唯一無二の商品が生まれるのだという。

 「最近では、卵殻研究を10年来行っているバイオアパタイト社の監修を受けて、『ランブラン』という歯磨き粉を開発しました。汚れを落として歯を白くする、本当に画期的な商品です。北海道から九州まで、大手ドラッグストアや量販店でこの商品を採用していただき、今後も増えていく予定です。今まさに、第2の『なた豆すっきり歯磨き粉』として順調に数字を伸ばしているところです」と語る阿部氏。スマホやモニターの画質もどんどん向上していくなか、マスク着用が自由になり、人々は「映り」を従来以上に気にするようになり、「ランブラン」のような商品が求められている。商品力と世の中の需要が噛み合いながら盛り上がっていく好事例といえるだろう。

高い分析力と行動力を兼ね備え
先々のリスクを回避する判断力が大事

リニューアルしたばかりの社屋。2階にはショールームもある
リニューアルしたばかりの社屋。
2階にはショールームもある

    阿部社長から感じるのは、常にアンテナを張り、即行動に移すフットワークの軽さだ。たとえば、柔軟剤の「ダウニー」の例がある。阿部氏は、「ダウニー」が日本の消費者からも魅力的に映るだろうといち早く察知、輸入により業績を一気に伸ばした。数年は同商品の貿易により利益を出していたが、昨今のウクライナ戦争の影響で為替が大幅に変動したことにより状況が悪化。リスクヘッジのため、早々に輸入を打ち切った。これには社内の反発もあったそうだが、続ければ続けるだけ赤字になることが目に見えていたため、輸入よりも「国内第一集中」に切り替えていくことにした。正に選択と集中だ。この迅速な経営判断が利益率の改善につながったという。

 コロナ禍においては社員のリモートワーク環境を整備し、在宅でも作業ができる体制を構築した。また化粧品の生産ラインをすべて消毒液の製品などに切り替えることで、非常事態をスピーディーに切り抜けてきた。加えて、社内コミュニケーションや名刺管理もアプリで一元化し、リモートでも円滑な情報共有ができるようにした。最近では、物流拠点である久留米物流センターの大規模なリニューアルを実施した。

 「品質管理をより徹底するために常温倉庫を建てました。たとえば歯磨き粉は高温で保存するとすぐにダメになります。とくにここ数年の夏は猛暑なので、空調を効かせることで人にも商品にも快適な空間を保つことできます」(阿部社長)。加えて、最新の機器を導入し、誰でも簡単に在庫管理や発注ができるシステムを採用。この効率化によって余った人員を配置転換するなど、フォロー体制まで万全だ。

圧倒的低離職率を誇る「チーム三和通商」
社員は待遇や福利厚生、働きがいに大満足

社員との食事会を月に1回開催している
社員との食事会を月に1回開催している

    阿部社長を筆頭に、社員一丸となってコロナ禍や世界情勢による影響を乗り越えてきた同社。社員にも話を聞いたが、皆が高いモチベーションをもって働いているという印象を受けた。「長く勤務している社員が多く、離職率は本当に低いです。休日出勤や残業はないし有給休暇も取りやすいです。リモートワークでもアプリでやりとりができるので、皆とすぐに相談し合えるのもよいです」(社員)。月に1回、社員間の食事会を実施。職場ではないフラットな場でしか話せないことも気軽に話せるとあって、社員たちにも好評だ。「食事会はとくに強制ではないですし、社長とのというよりも社員同士でのコミュニケーションの場なので、いつも楽しい雰囲気です」(社員談)。コミュニケーションツールが発達したとはいえ、リアルなつながりが、社員間の結束を高めるのだろう。

 今後の展望について、阿部氏は「やはりメーカー事業が一番大切です。オリジナリティのある商品をいかにつくるかというところに難しさがあるし、そこが面白い部分です」と話す。この根幹事業に加えて、太陽光発電事業も変わらず好調を維持しているという。現在、メガソーラーを含む太陽光発電所を九州各地に13カ所に設置している。「当初、大きな投資を行って始めた太陽光発電は、今や大事な柱の1つです。しっかりと安定した利益を出せていますので、そこで出た利益は、メーカー事業で発生する広告費や展示会の出展費用などにも充てています」(阿部社長)。

 さらにスポーツ分野にも貢献したいという思いから、障がい者スポーツ選手雇用センターの「シーズアスリート」や地元福岡からプロのゴルフ選手を目指す高校生などへの支援も活動も行っている。

 メーカーとしてさまざまな製品を開発しながらも、多彩な分野で活躍を見せる同社の勢いは増すばかりだ。これからも、「チーム三和通商」から生み出される商品やサービスから目が離せない。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:阿部 伸司
所在地:福岡市早良区東入部6-1-2 三和ビル
設 立:1995年9月
資本金:2,000万円
TEL:092-405-8680
URL:http://www.sanwatsusyo.co.jp


<プロフィール> 
阿部 伸司
(あべ・しんじ)
1983年、福岡生まれ。立命館アジア太平洋大学国際経営学部卒。大学卒業と同時に同社入社。営業として約12年間その最前線で活躍し、32歳で代表取締役社長に就任。趣味はゴルフ。英語堪能。大学で友人になった留学生との結びつきが、今のビジネスに生かされているという。

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