2024年12月23日( 月 )

中国の不動産市場 低迷続く(前)

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 中国で7月13日、またも「不動産大手100社」の1社が破産申請をした。広東祥正など2社からの貸付金2,000万元 (約4億円)および工事費用が未払いとなっている「富力地産」である。申請はすでに広州中級裁判所で受理され、7月に法廷審議が行われた。

 富力地産の破産申請は、市場で大きなニュースとなっている。広東省で1994年に発足した同社は2005年に中国本土の不動産開発会社として初の香港上場をはたし、全盛期には中国恒大、碧桂園(カントリーガーデン)、雅居楽、合生創展(ホプソン・デベロップメント)とともに不動産の「華南5強」に数えられるなど、中国の不動産界で重要な位置を占めてきた。

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 富力地産は不動産が活況であった2015年に、中国恒大に習って融資に力を入れ、土地の購入を進めたほか、大型のマンション購入も始めた。万達集団が不振に陥った2017年、およそ200億元(約3,856億円)で同社のホテル73軒およびオフィスビル1棟を買い取り、「世界最大の高級ホテル経営主」に登りつめた。しかしこの巨額な散財で債務が急増し、借金を繰り返す状態にはまっていった。そして中国政府が2020年後半から不動産バブルの抑制策を講じ始めたことで、業界内各社が資金繰り困難となり、富力地産も苦境に拍車がかかって金銭のやりくりがつかず、デフォルトを起こしてしまった。

 富力地産の2022年度決算報告によると、2023年3月末現在、銀行貸付ほか借款のうち290億元がデフォルトまたはクロスデフォルトとなっている。

 こうした不動産業界における流動性問題で、債権者が破産や更生、清算を求めて提訴するケースが相次いでいる。金融情報サービスのwindによると、中国本土または香港で上場している不動産企業のうち、2021年以降に債権者から破産や更生、清算を求められた企業が30社以上あり、このうち中国恒大、新力控股、融創中国、金科、佳兆業控股など13社が2020年まで「不動産大手100社」に数えられていたものである。中国恒大の債務はすでに2.5兆元(約48兆円)に達している。

 中国の不動産市場は3年間続いたコロナの影響で不振を極め、専門家の間では不動産バブルはすでに崩壊したと見られている。ここ3年間、ロックダウンなどの感染対策により不動産の経営や取引活動が縛りを受け、感染の多かった地域では建設工事などもままならなかった。また一方、コロナで世帯収入が落ち込み住宅需要や購買力の見通しも悪化し、収入減を恐れ、勤め先を確保する動きも出るなか、誰もが節約へと走っていったのである。

 不動産情報サービスの克而瑞研究中心(CRIC)によると、不動産大手100社の今年6月の売上高は前年比28・1%減の5,267億元(約10兆1,566億円)であった。6月は、売上高が前年比増となったのは100社のうち3割に満たず、多くは業績が落ちこみ、27社が50%以上のダウンとなっている。

(つづく)


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