ブラックロックのビットコイン現物ETF申請が意味すること(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏ビットコインの最新動向
ビットコインは2021年11月に最高値である6万9,000ドルを付けた後、その後価格を下げ続け、22年11月頃には最高値の3分1以下にまで値を下げた。ところが、今年に入って年初の価格より70%程高騰し、現在の価格は2万6,000ドル近辺で推移している。
ビットコインが誕生したのは2009年。現在全世界で約8,000人が保有しているという。時価総額は1兆1,500億ドルで、全世界の資本市場の0.5%に過ぎず、暗号資産市場は未発達の市場と言ってよい。ところが、6月15日に世界最大の資産運用会社であるブラックロックが米証券取引委員会(SEC)にビットコイン現物ETFを申請し、大きな話題を呼んでいる。
ブラックロックだけでなく、ウォール街を代表するいくつかの資産運用会社もこの動きに加わっている。1兆5,000ドル規模の資産を運用するインベスコも現物TFを再申請したし、4兆2,000億ドル規模の資産を運用するフィデリティも、21年に現物ETFを申請して拒否されたが、今回再申請に入った。
バイナンスやコインベースがSECに提訴されるなど、暗号資産に対する規制が強化されているなか、米国を代表する金融機関がなぜこのような動きに出たのか、そして今後どうなるのか、注目が集まっている。ここでブラックロックの現物ETF申請が意味することとは何か、改めて考えてみたい。
現物ETFとは
現在の暗号資産市場は変動が激しく、管轄官庁も明確に決まったわけでもないので、機関投資家が積極的に参入できるような環境ではなかった。しかし、米SECは暗号資産市場を証券市場のように規制すべく積極的に動いている。SECは今まで、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)に連動して動く先物ETFは承認したことはあっても、現物ETFの申請は許可していない。一方、現物TFを世界最初に承認した国はカナダで、そのファンドは現在2万8,000BTC(7月19日基準)にのぼる。
ETFとは上場投資信託(Exchange Traded Fund)のことで、株価指数やゴールドなどの資産の値動きに連動するファンドである。投資家が売買しやすく、手数料が低いこともメリットの1つである。ビットコイン現物ETFの場合、ビットコインとほぼ同じ値動きをするためビットコインに投資するのとほぼ同じだが、ビットコイン現物を保有する必要がなく、しかもいつでも売買できるという、とても便利な金融商品である。今回現物ETFを申請したウォール街金融機関の資産を合計すると、15兆ドルくらいになるという。
先物ETFは米国では21年10月15日に承認された。ビットコイン先物ETFはビットコインを直接売買するのではなく、未来の一定時点の価格を売買するものであるから、市場でビットコインの現物を購入する必要はない。ただ、先物価格は現物価格より高い場合が多く、手数料も先物ETFは現物ETFより高いため、金融機関としては現物ETFを好む傾向がある。
今後現物ETFが承認されれば、誰でも株式投資をするような感覚で、ビットコインに間接的に投資できる道が開ける。歴史的に見ても、ゴールド現物ETFが上場された後、ゴールドの価格が4倍ほど上昇したことがあり、ビットコインにも同様の価格上昇が期待されている。
(つづく)
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