【BIS論壇No.418】TICAD(アフリカ開発会議)30周年記念行事に参加して
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は8月27日の記事を紹介する。8月26日、外務省の主催で、TICAD(アフリカ開発会議)発足30周年記念行事が都内のホテルにて開催された。
筆者は米コロンビア大学留学時、発展途上国論で名高い教授で、当時国連事務総長の顧問も務めていたジェフリー・サックス教授の「国際関係・発展途上国論」の講義を傍聴していた。
当時のコロンビア大学は、ノーベル経済学賞受賞者のロバート・マンデル教授やジョセフ・スティグリッツ教授など、多彩な教授陣が顔をそろえており、筆者は彼らの講義も傍聴し国際貿易論について意見交換などさせていただいた。とくにロバート・マンデル教授とは後年、一緒に日本のO社の社外特別委員を2期4年務めたことから親しくなった。日本や中国にあるO社の研究所や工場を一緒に見学したこともあり、長年、公私ともにご指導をいただいた。
筆者の勤務先の東京経済大学の創立100周年記念講演会には、はるばる米国から来日いただき、500名を超える聴衆が同教授の「アジア共通通貨について」の講義に感銘を受けた。
さて、上記ジェフリー・サックス教授はアフリカ問題の専門家でもあり、2013年に横浜で開催された第5回TICAD会議で講演するというので、筆者も参加した。その時のご縁で、以来3回ほどTICAD会議を傍聴することになり、TICADと関係をもつようになった。
8月26日のTICAD30周年記念行事は、林外務大臣、森元首相などの講演もあり、有意義であった。とくにアフリカは、ポスト・チャイナ、ポスト・インドとして、21世紀後半から22世紀にかけて最も発展する大陸として世界の注目を集めている。
TICADには世界銀行やUNDP(国連開発計画)、AU(アフリカ連合)といった国際機関も関与している。各代表の講演にはアフリカの将来に対する自信がみなぎり、深く感銘をうけた。
アフリカは地球上に残された最後の発展市場とみなされ、米国、EUのみならず、中国、インド、ロシアなども注目している。衰退しつつある日本の一員として、未来市場のアフリカに注力する必要性を痛感した。アフリカの人口は21世紀末には25億人、22世紀には50億人に達し、世界の人口の半分を占めるとみられる。54カ国が存在するアフリカは、日本からは地理的にはたしかに遠いが、いまや丸一日で行けるとのこと。資源大国でもあるアフリカとの協力強化に、日本としても、官民挙げて一層の長期的対応が求められる。
TICADが30周年を迎えたいま、グローバルサウスとしても力をつけつつあるアフリカとの戦略的対応が必要だ。2024年には日本でアフリカ首脳会議が、2025年には横浜で第9回TICADが開催される。この機会に、アフリカとの関係がさらに強化されることを期待したい。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)関連キーワード
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