初めて食べた猛毒キノコで生命の危機 ネットによる知識と危機管理の浅薄化に注意!
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7日、愛知県幸田町に住む30代の男性が猛毒のキノコ「ニセクロハツ」を誤って食べ、一時、意識不明になっていたことが分かった。現在は快方に向かっているという。
発表によると、男性は8月10日、幸田町地内で自ら採取した野生のキノコを自宅で調理してカレーに入れて食べた。翌11日朝、下痢やおう吐などの食中毒の症状を訴えて病院に搬送された。一時意識不明となり集中治療室で治療を受けたが、その後、一般病棟に移った。9月7日時点で入院中だが、容体は快方に向かっている。
愛知県西尾保健所が自宅に残されたキノコなど5検体(キノコ2検体、調理済品3検体)を検査したところ、うち3検体(キノコ2検体、調理済品1検体)からニセクロハツが検出されたため、当該キノコを原因とする食中毒と断定した。
男性はまさに一命をとりとめた状況だ。
ニセクロハツは猛毒のキノコとして知られており、18年には三重県桑名市の75歳の男性が、ニセクロハツとみられる毒キノコを食べて食中毒を起こし、1週間後に死亡している。この男性は症状が出た時点で、「食用のクロハツと思って食べた」と話していたという。
ニセクロハツは九州でも見かけるキノコだが、猛毒のニセクロハツと食用のクロハツは区別がつきにくく、熟練のキノコハンターでもクロハツを常食する人はほとんどいないであろう。
今回の愛知県の男性は、一部報道によれば、初めて野生のキノコを採取して食べたという。男性がどうして野生キノコを食べる気になったのか、ネットでちょっと調べただけで食べる気になったのか、たまたまキノコを目にしたから食べる気になったのか、判断の経緯についても情報が欲しいところだ。
キノコ狩りに限ったことではないが、富士山でも問題化している弾丸登山などと同様に、ネットによる手軽な情報入手を背景にした危機管理に欠けた安易な行動による事故が多方面で発生している。現代の世相として、SNSによる自己表現が流行だ。しかし、浅薄な知識でキノコを食べようが富士山に登ろうが、SNSでの投稿に区別はない。むしろSNS上の自己表現としては楽天的な浅薄さが好まれる。それが危機管理の欠如した安易な行動を助長している。
ネットは無限の知識を供給してくれるが、知識を適切に運用する力は即席では身につかない。危機管理における判断力はその最たるものだ。ビジネスの現場でも、これから本格化する秋の行楽シーズンにおいても、そのことを今一度肝に銘じて行動したい。
【寺村朋輝】
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