2024年12月21日( 土 )

暗号資産に欠かせない「マイニング」(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

「マイニング」に必要なマイニングマシン

マイニングマシン イメージ    「マイニングマシン」とは、暗号資産のマイニングを行うのに使われる機械のことだ。主にCPU・GPU・ASICの3種類の計算処理装置のいずれかを搭載したコンピューターで計算を行い、マイニングする。しかし、マイニング難易度がぐっと上がったために、一般のパソコンではマイニングはほとんど不可能となり、現在はビットコインはASICを使うことが、その他はGPUを使うことが主流となっている。

 ASICとは、ビットコインを効率的にマイニングするという用途に特化して誕生したものである。最近ではビットコインのマイニングにはほとんどASICが用いられ、その他はあまり使われていない。

 ASICを搭載したマイニングマシンが市場に登場したことによって、マイニングへの参入障壁は高くなった。そのうえ、ASICも毎年のように新型が登場し、旧型を使い続けていては競争力がなくなるリスクも存在する。さらに、マイニングに使用する機器は暖房器具に匹敵するほどの熱を発することも多いため、熱暴走による故障を防ぐために冷房代などの管理費も別途必要になる。そのような状況であるから、現在、ビットコインにおいてマイニングの収益を出すのは大変難しい。

 韓国でも、2017年にビットコインが高騰した時はマイニングプールが流行っており、マイニングの事業所も全国に数千ヵ所あった。しかし、今はそれらのほとんどが姿を消している。競争が激しくなったうえに、韓国のように電気料金が高くては、採算を取るのは厳しいからだ。

マイニングの収益性は確保できるのか

 マイニングで収益を上げるには、ハッシュレートが低く、マイニング報酬が高い通貨を選ぶことが大事だ。ビットコインの場合、3つの面において、収益性を上げることが難しい状況である。

 まず、マイニング収益の大部分を占めるのは、マイニング報酬として受け取ったビットコイン(BTC)の売却益である。したがって、ビットコインの価格が下落すると、収益が少なくなってしまう。

 マイニングの難易度もまた、マイニングの収益性と相関関係がある。基本的に、マイナーが少なくなればマイニング難易度は低下し、多くなれば上昇する。マイニング難易度が上がれば、それだけマイニングの成功率は下がり、1人のマイナーがビットコイン(BTC)を受け取れる確率は低くなる。つまり、マイニング難易度の上昇は、マイナーにとっては収益性の低下を意味するのである。

 さらに、マイニングが採算性を維持するためには、マイニングマシン購入の初期費用や電気代などのランニングコストを上回る収益を上げることが必要となるが、世界的なインフレで電気料金も上昇しているうえ、ビットコインの価格は低迷しているため、マイニングビジネスは目下、厳しい状況にある。

 そのため、韓国ではビットコインマイニングは皆無に近い。安価な水力発電によって生産される電力を利用してマイニングが盛んに行われていた中国も、2021年9月、国内でのマイニングは違法となり、全面的に禁止されている状態である。

 マイニングは米国、カザフスタン、ロシアなどの地域が中心となっている。マイニングビジネスは電気料金の値上げ、初期投資が多くなる点、規制など、先行き不安材料が多い。とくにヨーロッパでは、ビットコインのマイニングはほとんど採算が取れなくなっているようだ。しかし、マイニングは今後ますます普及するであろう暗号資産を理解するうえで、重要な要素なので、知識をもっていた方が良いだろう。

(了)

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