2024年12月23日( 月 )

九州FG誕生~金融再編の行方を占う(3)

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九州地銀に押し寄せる内憂外患

 九州FGは10月1日に誕生するが、その一カ月後の11月4日に日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の郵政3社がIPO(新規株式上場)することが決まった。その中で注目されるのはゆうちょ銀行だ。ゆうちょ銀行は九州において強固な営業基盤を築いており、上場を機に九州地銀(18行)への攻勢を強めてくるものと予想される。
 九州FG誕生の内圧、ゆうちょ銀行による外圧は、九州地銀とって内憂外患の非常事態であり、まさに金融再編へのプロローグと言えよう。

ゆうちょ銀行の概況について

1.経営成績【表1】h1

表から見えるもの

・企業の売上高に当たる15/3月期の経常収益は2兆781億円、経常利益5,694億円、当期純利益は3,694億円。
・ゆうちょ銀行の総資産は約208兆円で、三菱UFJFGの約286兆円に次ぐ第2位。以下みずほFG約189兆円、三井住友FG約183兆円と続く。

2.九州各県別の預貯金比較表(15/3月期)【表2】

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表から見えるもの

・ゆうちょ銀行のシェアが30%を超えているのは大分県の33.0%、鹿児島県の32.2%、佐賀県の31.1%の3県。残り4県も20%台のシェアがあり、あなどれない数字だ。
・福岡銀行や西日本シティ銀行など、第一地銀の預金残高には、東京・大阪など他府県の預金も含まれており、ゆうちょ銀行の実体シェアは、表記よりもまだ高いものと推測される。

3.ゆうちょ銀行の店舗数【表3】

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表から見えるもの

・ゆうちょ銀行の店舗数は、コンビニ第1位のセブンイレブンの国店舗数18,092店(15/8月)、第2位のローソン12,276(15/2月)、第3位のファミリーマート11,450店(15/8月)より多く、ローソンとファミリーマートの合計(23,726店)を上回る。郵便局を主体として、地域の津々浦々まで店舗網があるのが強みとなっている。
 ゆうちょ銀行は上場を機に官営から民営に移管し、種々の条件が緩和されていく。現在、一人当たりの貯金預入限度額は1,000万円の制限がある。また運用も国債などの有価証券が殆どであるが、今後は貸出についても銀行と同様、融資業務を取り扱えるようになるのは必定で、ゆうちょ銀行の民営化は、まさに「黒船来襲」に匹敵するほどの、新たな競争相手の出現と言えそうだ。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 
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