おかしなことだらけのコロナ禍 未来を担う若者のために忖度政治を克服せよ(前)
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看護師YouTuber 野中 しんすけ 氏
2019年12月8日に中国武漢市で発見された新型コロナウイルスは、瞬く間に世界中に広がった。あれから3年以上を経た23年5月8日、日本ではこれが指定感染症の5類へと引き下げられてインフルエンザウイルスと同じ扱いとなり、“形式的”には収拾したことになっている。国内では感染対策を緩和し始める人が増える一方、規模は縮小しているものの感染状況はいまだ頻繁に報道されている。看護師としてコロナの現場をその目でつぶさに目撃し、そのうえで世の中のおかしさを訴え続けてきた野中しんすけ氏に、当時から訴え続けてきたこと、そして、今まさに伝えるべきことをつづってもらった。
日本国内では2020年1月15日、新型コロナウイルス感染の第1例目の報告がなされた。20年3月13日に成立した「新型コロナウイルス対策の特別措置法」に基づく措置として、安倍首相(当時)は同4月7日、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県に緊急事態宣言を発出した。
日本で初めて感染者が確認された1月から緊急事態宣言が出るまでの3カ月間、風邪程度の対策しかしていなかった国民も、緊急事態宣言が出されると家にこもり、臨時休業する会社も多く出てきた。これにより、どこの街もすっかり閑散となってしまった。博多駅に歩く人はおらず、道路には車が1台もない日が続き、異様な光景が広がっていたことを思い出す。看護師として働いていた私に休業などあるはずもなく、通勤で利用していた地下鉄が3車両連続で誰ひとり乗っていない光景を目の当たりにしたときの衝撃は、今でも忘れられない。
実は、すでにこのころから私は「緊急事態宣言」そのものに疑問を抱いていた。新型コロナウイルスは“型”を変えているものの、感染力、重症化率、病態など、3年前と比べてその実態はすいぶん明らかになってきている。
皆さんは緊急事態宣言が初めて出たときの東京の感染者数を覚えているだろうか。1日の新規感染者数は87人であった。1日100人とか1,000人以上とか、多くの感染者数を聞き続けてきた私たちからすれば、「たったそれだけ?」と思う方もいるかもしれない。しかし、本当にそれだけで緊急事態宣言は発令されていたのだ。
ここに疑問を感じた私はコロナについて詳しく調べ始め、YouTubeやSNSを通じて情報を発信するようになった。しかし、調べれば調べるほど「なぜこの程度で騒いでいるのか」と疑問に思うことばかりが出てきて、政府の打ち出す対策にますます懐疑を深めていったというのが正直なところである。先に述べた当時の東京の感染者数(1日の新規感染者数87人)にしても、その重症化率を見ても、高齢者以外は恐れるほどのものではないのではないかと思わせる情報しか出てこなかった。
にもかかわらず、メディアのコロナ煽りは日に日に激化し、そのエスカレートぶりは目にあまるものがあった。これには病院で働いている看護師として我慢できず、21年1月、YouTubeで新型コロナの情報発信を始めたというわけである。
若者狙い撃ち?!ワクチン接種推進の怪
新型コロナウイルスが発見されて丸1年が経とうとしていたこのころは、すでにワクチンの開発・供給が行われ、世界中で接種が開始されていた時期である。日本でも21年2月17日より医療従事者から接種が始まった。死亡率が高い高齢者が後回しになったことも、私にとっては疑問でしかなかった。
以来、多くの方に現実を知ってもらうため、厚労省のデータを活用しながら発信を続けてきたのだが、何度でもいう。当時から高齢者以外の感染率や重症化率、死亡率は非常に低く、感染対策を厳重にしないといけないものではなかった。高齢者でさえ感染しても、その87%は快癒している状況で、重症化するのは重い基礎疾患を持つ高齢者がほとんどだった(【図1】)のだが、メディアも政府もこれを報じはしなかった。
当時、視聴率が取れる新型コロナネタに飛びついては手を変え品を変え放送してくるメディアの在り方に、憤りを感じたのもこのころである。ワクチン接種が始まったとき、医療現場で働いていた私にも当然、先行でワクチン接種の案内がきた。21年4月のことであった。だが、すでに2月から接種が始まっていた医療従事者のなかから、接種後に重い副反応の出た人が数多く報告されていたのみならず、死亡事例さえ厚労省から次々に上がってき始めており、同世代の死亡事例に恐怖を感じた私はワクチン接種を見送った。
つまり、高齢者でなく接種の必要性のない層に、接種を強く促し始めていたわけである。その際、まるで流行語のように始まったのが、「高齢者のため若者もワクチン接種を」「若者で重症化する人もいる」「後遺症は怖い」「若者の感染者数は日本で一番多い」「若者から感染を広げている」の合唱。そういう“若者たちを悪者にするような言葉”が連日放送されるようになったのだ。
当時、新型コロナウイルス感染症対策分科会会長であった尾身茂氏も、若者に接種を促すためにインスタグラムを始めて「投稿を頑張る」と言っていたが、若者の2回目の接種が終わるや否やすぐさま撤退。要は、若者に接種させるためだけの発言をしただけで、三日坊主で終わったわけである。そうした連日の“訴え”を通じて実施をみたワクチン接種だったが、23年現在、どのようになっているだろうか?
検査減少で感染者数減 政府公表数字のカラクリ
すでにご存知かもしれないが、23年7月に首相官邸が出したワクチン接種率をご覧いただきたい(【図2】)。
3回目の接種率は40代以下で著しく低下している。4回目以降は全年齢で接種率が低下し、政府も慌てたのだろう、4回目以上はまとめて表記する始末である。「若者の感染者数は日本で一番多い」「若者から感染を広げている」という、くだんの“若者が元凶”論も、6~7月の沖縄の状況を見れば“デマ”であったことは一目瞭然である(【図3】)。
これは沖縄の感染者数を年齢別で表示したものである。一瞥しても、若者の感染者数が一番多いという人は誰もいないと思う。たしかに5月の5類移行までは若者の感染が多く出ていたが、5類になった途端にこの状況だ。たった2カ月でウイルスが高齢者にだけ感染するようになったとは考えにくい。この間に変化があったことといえば、(1)検査が有料になったこと、(2)濃厚接触者探しをしなくなったこと、そして(3)無症状感染者を探さなくなったこと。大きくこの3つである。つまり、コロナ前の検査方法に戻しただけで、感染者数が減ったことになる。
ご存知の通り、「感染」と「陽性者」とは違う。ざっくりいえば、症状がある人を感染者、症状がなく検査で陽性になった人を陽性者という。これまで私たちは、症状があれば病院へ行き検査をしてもらっていた。症状がなく病院へ行った場合は基本的に自由診療となるため、保険適応にはならない。だから症状があるときだけ検査に行っていたのだが、このたびのコロナについては、検査代は誰でも無料、「疑い」でも無料。検査で「陽性」となれば薬代も無料。食料などの物資まで届けてもらえる。
現在の感染者数の減少は、そうした“手厚い支援”がすべてなくなり、若者が検査をしなくなったことが1番の要因であろう。一部企業ではいまだに毎週抗原検査をしているところもあるが、そのような企業も5類に移行してからは減ってきている。2~3年前、学生や若い現役世代は、学校や会社、イベントといった集団の場に行くたびに検査を強いられてきた。そうした“日常”がなくなったことで、本当の意味での「感染者」は実は高齢者に多かったという事実が浮き彫りになったのだ。感染して症状があるということは、それだけ体内でウイルスが多くなっていることを意味する。そして、ウイルス量が多いとは、すなわち人に感染させるリスクも大きいということである。
(つづく)
<プロフィール>
野中 しんすけ(のなか・しんすけ)
1986年生まれ。大分市出身。看護師YouTuber。宗像看護専門学校卒業後、大分市医師会立アルメイダ病院に看護師として就職(2017年に退職)。16年、健康や予防情報を独自の視点から伝えるYouTube配信を開始。【感想・憶測ではなくデータを基に視聴者にわかりやすく伝える】スタイルが好評を博し、21年4月にチャンネル登録者数1万人、22年4月に10万人を達成する。22年参議院選挙(福岡県)に参政党公認候補として出馬、7万2,263票獲得。地元への想いから23年大分県議選に出馬、5,214票獲得。23年7月、参政党大分支部県連会長に就任。次期衆議院選挙同党公認候補。法人名
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