スルガ銀行、シェアハウス「かぼちゃの馬車」の詐欺事件に役員が片棒担ぐ(前)
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女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズ(旧・スマートライフ、東京・中央)は4月9日、東京地裁に民事再生法を申請したが18日、同地裁より申請を棄却され、保全管理命令を受けた。「かぼちゃの馬車」の経営破綻は大半の建設費用を融資したスルガ銀行(静岡・沼津市)の不正事件へと発展した。スルガ銀行は、森信親金融庁長官が「地銀のモデル銀行」とお墨付きを与えた銀行だ。
森金融庁長官から優良銀行のお墨付き
金融庁の森信親長官は17年5月10日、都内で講演し、地方銀行のビジネスに言及した。同日付のロイター通信は講演内容をこう伝えた。
〈森長官は、生産年齢人口の減少で貸出需要の減退が見込まれるなか、中期経営計画で貸出目標を掲げている地銀48行すべてが、貸出増を目指していることに言及。「マクロ的に見ても成り立たないのではないか」と疑問を投げかけた。
そのうえで、地域のサービス業へのコンサルティングや融資を通じ、収益をたしかなものにすることも、1つのモデルだとした。
森長官は、ほか行に先駈けてニッチな分野を開拓し、収益を上げているスルガ銀行を評価して「(規模が)大きくなることが唯一の解決策ではない」と述べた。〉森長官はスルガ銀行を「地銀のモデル銀行」として絶讃した。異例なことだ。この発言が災いをもたらすことになる。
15年7月に金融庁長官に就任した森氏は金融再編推進者として知られる。地方銀行のトップに対して、ことあるごとに「経営統合は重要な選択肢」と迫り、大型再編の種を蒔いてきた。地銀は人口減少や地域の産業の停滞という根本的な問題を抱えている。今後10年で見ると、経営環境は厳しくなる。森氏が目指すのは、県境を越えた地銀の広域再編だ。
だが、森氏は挫折を味わう。福岡銀行、親和銀行(長崎県佐世保市)、熊本銀行の持ち株会社ふくおかフィナンシャルグループと十八銀行(長崎市)の統合交渉が無期延期になった。合併すれば、長崎県内の貸出シェアが7割を占めるため、公正取引委員会が待ったをかけた。森長官が描く地銀の広域再編のシナリオが崩れた。
地銀再編が遅々として進まない現状に苛立ちを隠せない森長官は、先の講演で、規模が小さくても持続可能なビジネスモデルへの転換が遅れている地銀に、「スルガ銀行を見倣え」とハッパをかけたわけだ。
たしかに、スルガ銀行は金融庁長官がわざわざ取り上げるだけの収益力を誇る。
2017年9月期中間決算の銀行ランキング(銀行専門紙「ニッキン」調べ)によると、スルガ銀行の収益力が際立つ。
地銀64行のうち、規模を示す預金量は4兆700億円で第27位と中堅。ところが、収益力を示す業務純益(一般企業の営業利益にあたる)は331億円と堂々の3位。1位の横浜銀行(420億円)、2位の千葉銀行(370億円)に迫り、4位の福岡銀行(299億円)を上回る。スルガ銀行の収益力は地銀上位行に匹敵する。
なぜか。ビジネスモデルを大転換したからだ。これがシェアハウス融資につながった。
(つづく)
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