楽天モバイルにプラチナバンド割当、ただしサービス開始は26年3月
-
総務省は10月23日、楽天モバイルに対して携帯電話向けのいわゆる「プラチナバンド」の割り当てを認定したことを発表した。
プラチナバンドとは700〜900 MHz(メガヘルツ)の周波数帯で、ビルなどの障害物があっても回り込んで電波が届きやすい性質をもつため、さまざまな環境下で通信が安定する。既存3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)は、700MHz帯に10MHz幅と800/900MHz帯に15MHz幅をそれぞれ上下2本ずつ割り当てられていたが、楽天モバイルは2018年4月に移動通信事業に新規参入した際、1.7GHz(ギガヘルツ)帯に20MHz幅を上下2本、割り当てを受けたものの、公平な競争の下で通信サービスを提供するために、既存3社と同様にプラチナバンドの割り当てが必要と主張していたものだ。
今回、念願のプラチナバンド割当となったが、割り当てられたのは715MHz~718MHz、770MHz~773MHzの僅かに上下3MHz幅ずつのみ(これについては下記の過去記事で説明している)。
また、同社が総務省に対して認定申請した開設計画によると、サービス開始予定は2026年3月となっている。これはかなり控え目な計画で、実際には都市部などの一部エリアでのサービス開始はずっと早まると思われる。だが、プラチナバンドを膨大な赤字を垂れ流すモバイル事業黒字化の切り札と見なしていた同社にしては、何とも悠長な計画だ。
しかし、それも既報「楽天モバイル、白旗で既存3社との棲み分けを痛切にアピール」で解説したように、既存3社と楽天モバイルとの競争はすでに勝負がついており、そのうえでの今回の割当と見れば、無理に全体のサービス開始を急ぐ必要もない。
楽天モバイルの業績改善の展望が悠長な一方で、楽天グループの最大の強みである楽天経済圏のブランド価値の傷みは着実に進行している。
楽天ポイント改悪に皆もう慣れた?
11月1日から、楽天カードのポイント付与ルールが変更される。100円につき1ポイント付与される楽天ポイントの計算方法が、月の合計利用額から1回の利用額ごとに変わる。つまり、1回の買い物につき発生する100円未満は、今後すべて切り捨てられることになる。
今までにもたびたびポイントルールの「改悪」があり、ある意味ユーザーはこの手のルール変更にもう慣れっこだ。過去にも特定サービスを組み合わせて楽天市場で買い物すると還元率が大きくなるスーパーポイントアッププログラム(SPU)の改悪がたびたび発生し、それを目当てに保険やアプリを導入した利用者を失望させてきたからだ。
たとえば、22年3月いっぱいで終了したのが、「楽天の保険」の保険料を楽天カードで支払う場合、楽天市場での買い物ポイントが「+1倍」となっていたSPU。今年8月にも楽天市場アプリで買い物すると、ポイントが0.5%分上乗せされる特典が終了した。
特典の打ち切りも、利用者を囲い込む楽天の戦略のうまさとして利用者をして「さすが楽天」と思わせ、次なる期待を抱かせればよいが、度重なるルール変更は、「楽天モバイルが苦しいからだろう」と利用者に勘繰らせる結果となっており、ブランド価値の毀損につながることは避けられない。
11月9日は23年12月期第3四半期決算発表
来る決算では、グループ全体での業績改善がどこまで進んでいるのか、また、楽天モバイルだけでなく、楽天銀行や楽天証券についても今後の展開について新しい発表があるのか注目したい。
【寺村朋輝】
法人名
関連記事
2024年11月20日 12:302024年11月11日 13:002024年11月1日 10:172024年11月21日 13:002024年11月14日 10:252024年10月30日 12:002024年11月18日 18:02
最近の人気記事
おすすめ記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す