佐賀県、人口減少社会に直面した新大学構想の混迷(後)~短大運営学園の窮地
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佐賀県の大学の現状~背景にある大学・短大の変化
現在、佐賀県には以下の大学・短期大学がある。カッコ内は本部キャンパス所在市町村と運営学校法人である。
佐賀大学(佐賀市、国立)
佐賀女子短期大学(佐賀市、旭学園)
西九州大学(神崎市、永原学園)
西九州大学短期大学部(佐賀市、永原学園)
九州龍谷短期大学(鳥栖市、佐賀龍谷学園)【表1】を見る。国立とは佐賀大学で、私立とは西九州大学を指すが、合わせた学生数は全体として大きな変化はないものの、私立大学の進学者数はこの10年で大きく伸びていることが分かる。女性の大学進学率の高まりも背景として、西九州大学は、管理栄養士を目指す学部、福祉系学部、看護学部などで生徒数を伸ばしている。24年4月にはデジタルメディア系学部を新設予定だ。
一方、短期大学の現状を【表2】で見ると、2004年度(平成16年度)から10年間で半分程度まで減っていることが分かる。
佐賀女子短期大学は、2019年度の入学者数が190名であったのに対して、2023年度は157名と苦境に立たされている。そこで運営する旭学園が打ち出したのは、4年制大学の新設構想だ。
武雄アジア大学構想
旭学園は23年6月、佐賀県武雄市への4年制大学の新設計画を発表した。新大学の名称は「武雄アジア大学」。武雄市が財政支援を予定しており、まず建設予定となっている市有地の貸借費用、キャンパスの設計・建築費用、教具の購入費などまで支援する予定であるという。
学部は現代韓国学部、次世代教育学部(いずれも仮称)の2学部とする構想だ。各学部の設置目的としては、まず、現代韓国学部は韓国をはじめ、日本やアジア諸国のエンターテインメントビジネスや、それらの文化を比較・研究し、国際交流を担う人材育成を図る。次に、次世代教育学部は小学校教員免許を取得できる学部としつつ、現代的な教育手法を学ぶ場にするとしている。
ところが、8月に旭学園は、25年春を目指すとしていた開学の1年延期を発表。理由は、文科省が新規開学における学生確保の見通しに関する審査を厳格化したためで、25年度開設予定の大学から適用されることから、これへの対応として開学を延期したと学園側は発表している。
武雄アジア大学構想については、少子化における学生確保もさることながら、立地と設置学部の適合性に疑問の声が多い。大学の新設に際しては、学生たちのアルバイト先などまで含めた環境が必要であり、若者の誘致は容易ではない。
武雄市は大学新設に向けた財政支援策を年明けの1月に策定し、6月の議会に提出の準備を進めるとしているが、県議会と同様に紛糾することも予想される。
(了)
【寺村朋輝】
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