【BIS論壇No.433】2024年の世界経済
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は1月11日の記事を紹介する。「24年の世界経済の伸び2.4%、25年は2.7%と3年連続で2%台の低成長」
世界銀行は1月9日、最新の世界経済見通しを発表した。2024年の実質GDPの伸び2.4%、(23年は2.6%)と23年よりも0.2%低く予測している。米国・欧州の利上げの影響によって、世界の貿易、投資の停滞が継続するとみている。ウクライナ戦争やハマス―イスラエル戦争なども世界経済に悪影響を与えつつある。
「日本の成長は0.9%。25年はさらに0.5%へ減速」
日本はコロナ禍後の旺盛な需要や訪日客の増加などで好調だった23年の1.8%から半分の0.9%と1%以下に大幅に減速。世界経済成長の3分の1近くになると予測している。さらに日本の主要な貿易相手国の成長鈍化が輸出にも悪影響を与えつつあり、25年はさらに0.5%しか成長しないと日本経済の将来に対して厳しい見方をしている。最近の自民党の不祥事、新年早々の能登半島震災などもあり、日本の衰退がさらに加速するのではないかと危惧せざるを得ない状況だ。
「米国の24年の成長率も1.6%に低下」
米国は23年の2.5%から1%弱減速し、1.6%と予測。高金利や財政政策を引き締めに転じることが影響するとみられている。
「中国は24年4.5%、25年4.3%」
中国は目標のGDP成長率5%を下回り、24年、25年とも5%を下回ると予測される。しかし、日本の1%以下の成長、米国の1%台の成長に比べ、鈍化ながら4%台の成長を継続するものとみられている。中国の自動車輸出は、23年は電気自動車(EV)輸出が増え、初めて日本の輸出を上回り、世界最大の自動車輸出大国となり、中国の貿易拡大に対しては注目が肝要だ。
「世界経済のリスク増大」
世銀はリスクが増大していると警告。主なリスク要因に、ハマス―イスラエルの戦争激化による中東情勢の緊迫で原油高騰のリスクを指摘。さらに中国の不動産市場が一層深刻な落ち込みに見舞われれば、24年の中国の成長率はさらに低下し、世界の成長率は0.2%それぞれ低下すると予測している。ギル世銀チーフエコノミストは「大きな軌道修正がなければ、20年代は機会喪失の10年になる」と警告。各国政府に投資促進などを求めている。
日本は年初の能登半島震災、政治の混乱などからさらに経済が落ち込むことが懸念される。一方、11日、OECDは日銀の利上げは2%前後の物価上昇を前提にすべきだと提言した。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)関連キーワード
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