福岡で木造ビル建設が行われるのはいつの日になるのか
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三井不動産(株)が、国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル(低層階など一部を鉄骨造とするハイブリッド構造)の建設を、東京・日本橋で開始している。設計施工は(株)竹中工務店が担当。完成すれば地上18階建、高さ84m、延床面積約2万8,000m2となり、竣工は2026年を予定している。
建設現場は、首都高速1号上野線に面する日本橋本町1丁目の一角。日本橋三越本店や証券街、そして日本国道路元標・道路元標地点碑もすぐ近くにある、いわば東京、日本の中心地とも言っていいエリアである。
周囲には、オフィスビルや商業ビルが建ち並んでおり、当然、高度な建物に火災対策が求められる防火地域でもある。つまり、これまではその関係上、木造建築物は建てられない地域だったが、このプロジェクトには竹中工務店が開発した国内初適用の木造・耐火技術を多数導入することで可能としている。
さて、福岡市では天神ビッグバンや博多コネクティッドに代表される再開発が活発に行われているが、木造高層ビルの計画は未だ発表されていない。それはなぜだろうか。
考えられるのが、ディベロッパー・事業主の意欲、企画力の違いだ。前述のオフィスビルの開発を行っている三井不動産は「脱炭素社会実現に向けグループ行動計画」や「生物多様性方針」などを策定している
ESG、環境保全を経営の中核に据えていることが、木造・木質ビルの建設推進の理由となっている。新技術を導入するため、建設コストは鉄骨・コンクリート造よりも高額になる可能性も否定できない。
そんなリスクを抱えながら新たな取り組みをするのは、東京の一等地であり十分なリターンが見込めることが第一だろう。しかし、チャレンジングであることは間違いなく、ビル開発で他社との差別化、いち早く新たな市場形成をしたいという思惑が強く感じられる。
かたや福岡市の再開発ではどうだろうか。脱炭素対応などを経営課題と強くするディベロッパー、事業主は多く存在する。しかし、東京などと比べ経済規模が小さいことを理由に、木造・木質ビルの建設について尻込みしているケースもあるのではないだろうか。 尻込みしているのならまだいい。
そもそも考慮すらされていないというのが実状ではないか。人件費や材料費の高騰の折でもあるから、従来通りの鉄・コンクリート増の方がマネジメントをしやすいと考え、開発主体はおろか、ゼネコンや設計事務所も提案していないのではないだろうか。
福岡市に高層の木造ビルが建設されるのはいつになるのだろう。天神ビッグバンでは三菱地所(株)がイムズ跡地(中央区天神1丁目)に20階建ビルの外装材にCLT(Cross Laminated Timber)を採用することを計画しているが、その完成(26年3月の予定)が起爆剤になるのだろうか。
高層ビルを含む建築物の木造化は、地球温暖化対策としての脱炭素化、さらには地域の健全な山林・環境保全などの点から、いずれは本格的に取り組まなければならない。福岡においても、できるだけ早期に本格的な木造ビルの建設が行われることを期待したい。
【田中 直輝】
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