これだけ違う、日本人と中国人の消費者行動
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日本人が中国人と人間関係を築いていくうえで、最も留意しなければならないのは「距離感」である。中国人は日本人に対し「よそよそしい」「他人行儀」「警戒心が強い」などというイメージを持つが、一方で、日本人は中国人に対して「品がない」「声が大きい」「図々しい」といったマイナスイメージを持っている。これらは、島国と大陸という地理的特徴や、それにともなう教育などの面に起因している。ある中国人留学生は「日本人は家へ招いても、遊びに来たがらない。逆に、日本人は自分の家へ受け入れようとしない。中国人同士はお互いの家を行き来したり、泊まったりすることにはほとんど抵抗がない。フレンドリーなのは中国人の方ではないか」と話す。
一方で「爆買」という言葉が流行したが、中国人には「大量に物を買い、配ることを生き甲斐」とする一種の「共有(シェア)文化」が存在することも見逃せない。日本人は土産を購入するにあたっては「貰った相手が迷惑しないか」などと深く考える習性があるが、中国人は、「自分の良いと思ったものをシェアしよう」と考え、そこに「見返り」はあまり求めていないようだ。日本人は、「前回はこれを貰ったので、今回、これくらいの物で返さなければ」といった心理的な義務感のようなものが働く。
また、中国人は、日本人ほど「貯金」に対する概念・必要性を高く感じていない。これは「財産は政府によっていとも簡単に取り上げられるもの」といった歴史的に培われた感覚があるからとも言われている。そのため、儲けた金は比較的、短期間で消費してしまわないと、そのうち取り上げられ、結果的に「損」をするという価値観にも繋がっており、「ある金はどんどん使ってしまえ」といった消費者行動に出る。日本は、貯金は先々の「保険」としても有効なため、その場で消化してしまわず、長く蓄える傾向にある。中国人が日本人に対し「ケチ」というイメージを持つのもその視点の違いである。日本の「割り勘」文化も、中国人にとっては奇異に映る。
中国株価の乱高下で一般市民が「信用取引」で大損し嘆いているのも、「ない袖を大きく振る」という感覚が少ない日本人にとっては理解できない部分が多いようだ。
【杉本 尚丈】
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