二階元自民党幹事長、引退表明 武田氏の台頭に注目
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質問した記者を睨みつける
自民党の二階俊博元幹事長は、本日(25日)午前10時半に自民党本部で記者会見を開き、次の衆院選に立候補しない意向を明らかにした。二階氏自ら政治資金の不記載事件の責任を取ることで、けじめをつける意図があるとみられる。
自民党派閥の政治資金パーティー事件をめぐっては、二階派の派閥事務所が家宅捜索を受けて元会計責任者が東京地検特捜部に在宅起訴されており、二階氏の秘書も略式起訴された。二階氏自身は不起訴処分となったが、2022年までの5年間で3,526万円を政治資金収支報告書に記載していなかったことが判明している。
二階氏は会見において「政治不信を招く要因になったことに対し、国民の皆さん、ご支援くださった地元の皆さまに深くお詫び申し上げる」と謝罪し、「後継候補は地元の皆さんにお任せしたい」と述べた。また残りの任期について「国土強靭化、関西万博、観光立国、外交など力を尽くしたい」と語った。
記者からの質問に対しては、その多くを二階氏ではなく、隣に立つ林幹雄元経済産業大臣が答えていた。「高齢が引退理由か」との質問に対しては、二階氏が「お前もその歳は来るのだよ」とどすの利いた声で、質問した記者を睨みつけるように答えていた。その様子から「お前のような若造に何がわかるか」という二階氏の意地のようなものが垣間見えた。
二階氏は和歌山県出身。中央大学法学部を卒業後、和歌山県議会議員や議員秘書を経て、1983年の衆議院選挙で旧和歌山2区に自民党から立候補し初当選した。
当時、自民党主流派であった旧竹下派(現在の茂木派)分裂後、93年に小沢一郎氏らと自民党を離党。小沢氏の側近として行動を共にし、2003年には自民党に復党した。第2次安倍政権では幹事長に就任。菅政権でも幹事長に留任し、任期は歴代最長の約5年2カ月間におよび、絶大な権力を行使した。
日中友好を重視するハト派的姿勢のため、岩盤保守層から「親中派」との批判を受け続けたものの、中選挙区時代から連続13期当選しており、自民党内において二階氏独自の政局観に対しての評価は高かった。安倍元首相も「いつ反乱を起こされるか」と二階氏の存在を恐れていたという。
武田氏が事実上派閥を継承か
二階氏の引退表明によって自民党内の世代交代が進むことになるが、そこで二階派事務総長の武田良太元総務大臣の動向が注目される。
武田氏は菅義偉前首相や萩生田光一前政調会長らと頻繁に会食を繰り返している。なお、萩生田、加藤勝信、武田の3氏は菅政権を閣僚として支えたメンバーとして、名前の頭文字から「HKT」とも呼ばれる。
永田町関係者は「武田氏は今後の自民党におけるキーマンだ」と指摘する。武田氏は二階派の若手・中堅議員の面倒見が良いため、自民党内では二階派の多くを引き入れて「新たなグループをつくるのではないか」と見る向きが多く、武田氏の今後の動きが注目されている。
【近藤 将勝】
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