2024年12月22日( 日 )

GMS盛衰に見る小売事情(後)~ポストGMSはどうなるのか?

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 台頭するGMSから中小小売業を保護するという名目で大規模店舗規制法が施行されると同時に登場し、強力フォーマット(業態)に成長したのがロードサイドリテイラーといわれる郊外型150坪型専門店だ。大型店の商品部門を切り取り、その商品ラインを拡大した販売法は消費者の支持を得て、瞬く間にその規模を拡大した。限られた面積が生む短時間での買い物の利便性と混雑と無縁の郊外道路沿いへの出店がニューファミリーといわれた消費者を中心に人気を博した。

 しまむら、ユニクロ、紳士服の青山、オートバックスなどがその典型だ。しかし、今、その繁栄にも陰りが見え始める。国内の店舗数が飽和に達したからだ。しかし、その解決は既存企業にとって容易ではない。サラリーマン経営者がトップのヒエラルキー組織で変革を企図すれば上位職者との軋轢にだけでなく、時に馘をかけなければならない。だから大きな変革は望めない。

 とはいうものの、小型フォーマットでアメリカ進出を試みたニトリはすでに完全撤退し、ダイソーが何とかアメリカ消費者の支持を獲得しつつあるといったところだ。唯一ユニクロだけが海外展開の成功で世界のトップアパレルに成長している。

ニューヨーク イメージ    ユニクロはカジュアル、ユニセックス、ロープライス、コーディネートでスタートし、その後ユニセックスをメンズ、レディス、キッズ、インナー、服飾小物と売場を積極的に変化させた。加えて、新素材フリースといった話題性も引っ提げて成長を続け、今や世界一のアパレルも視野に入れる。

 ユニクロを今に育てたのはあえてリスクに挑戦したことだ。アメリカニューヨーク一等地への出店、中国への出店はその典型だ。ニューヨーク店舗のリース料はユニクロの価格、利益額、ブランド力から見るととてつもなく高い。サンフランシスコの旗艦店などもその同じだ。それらの決断がユニクロの大きな特徴だ。

 中国というカントリーリスクが大きい国などへも積極的に出店する。原材料の調達先や開発も同じだ。これらのハンディを考えると普通の企業はそんなトライには躊躇する。しかし、あえてユニクロはそれを実行する。拡大は拡大を呼び、やがて行き着くところに到達する。

 がニューヨークなどの大都市では当初、苦戦を強いられた。今後の興味はドンキの海外展開とニトリが改めてアメリカ市場に挑戦するかダイソーが順調にアメリカでのシェアを拡大するかというあたりだろう。

 海外への挑戦は決断力より楽観力なのかもしれない。ユニクロもニトリもダイソーもオーナー経営だ。サラリーマン経営者には楽観経営は許されない。革新が可能なのはいつの時代も半ばわがままな個人リーダーだ。ニトリやユニクロ、ドン・キホーテなどがそれに当てはまる。

(了)

【神戸彲】

(前)

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