ステーブルコインは暗号資産の第2のブームを引き起こす(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏ステーブルコインとは
ビットコインのような暗号資産は価格変動が激しく、価値が不安定であるため、価格が「安定している」という意味をもつ「ステーブルコイン」が誕生した。
ステーブルコインの価値は、法定通貨であるドルや国債などの現実の金融資産の価値と連動するように設計されている。ステーブルコインはデジタル社会向けに現金をトークン化(暗号化の一種)したもので、伝統的な法定通貨と仮想通貨取引所などのプロチェーンベースの市場との橋渡しをしている。実際、日本や韓国のように銀行が発達した国では銀行の口座に入金をし、自国の貨幣で暗号資産を購入しているが、多くの国では取引所で先ずUSDT(米ドル連動型ステーブルコイン)を購入し、その後ビットコインなどに交換する。
暗号資産市場が活性化すればするほど、ステーブルコインの需要は多くなり、ステーブルコインは市場参加者に取引やレンディングの流動性を提供する役割をはたす。したがって、ステーブルコインは暗号資産エコシステムに資金が流入するか流出するかを測る温度計ともなる。それだけでなく、ステーブルコインは安定した価格を維持しやすいため、今後は決済手段としての有用性も高いし、ブロックチェーンを活用するので低コストで、迅速であることも、大きなメリットの1つである。
最近は現金以外にステーブルコインでチャージするクレジットカードもあり、ステーブルコインの需要はますます高まっている。しかし、価格が変動しないため、価格の変動による利益は上げられず、投機には向いていない。
今に至るまでどのようなことがあったのか
現在の世界は、システム同士がつながっている場合が多い。したがって、万が一ステーブルコインに異変が起こった場合、それが金融市場へも波及し、金融の安定性を脅かす恐れがあるとし、ステーブルコインを規制すべきだという主張も多かった。実際、アルゴリズムベースのステーブルコインである「テラ」が暴落し、市場に大きな衝撃が走った。1ドルを維持するように設計されたステーブルコインの価値が、一時的ではあるが1ドルを下回り、市場関係者は動揺した。ステーブルコインはそのような過程を経て、現在は比較的安定成長を続けている。
とくに今年4月に、米国議会では包括的なステーブルコイン法案を可決しようとする動きもあった。ステーブルコインの規制が整うと、JPモルガンなどの大手銀行は仮想通貨分野に参入しやすくなるだろうと予測する専門家もいる。ステーブルコインはいろいろな種類が発行されているが、ドルに連動したUSDTとUSDCが代表的である。2つのステーブルコインは、市場全体の90%を占めているような状況だ。今まではUSDTの市場シェアが一番高く、ステーブルコインのリーダ格であったが、決済大手Visaによると、2023年12月にUSDCの月間取引量がUSDTを初めて上回ったという。今年4月21日には、USDTの週間取引量は下降傾向を続け、890億ドルに縮小したのに対し、USDCは4,550億ドルに増加したという。
USDCは米国当局の厳しい監視下にあるコインで、機関投資家の需要が多いのが特徴だ。USDCを発行するサークルは米国マサチューセッツ州ボストンに本社を置いていて、米国の機関投資家の信頼を得ているようだ。一方、テザー(USDT)の拠点はタックスヘイブンとされる英領バージン諸島で、アジアを中心に需要が多くあるようだ。
(つづく)
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