2024年06月26日( 水 )

市場縮小の罠を超える(9)自ら店舗市場を狭める

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山形屋が潰れるのは当然

 以前に使用した「アメリカ小売業売り上げ推移」表から検証しよう! 小売業全体の売上は1995年~2020年までの25年間で約2.5倍に膨らんでいる。逆にデパートの売上は半分強に激減し、さらに高級デパートのそれは約4分の1にまで減って、消滅寸前までの「風前の灯火」化していることに驚かされる。アメリカ国内でデパート形態が消えるのは時間の問題である。どうしてか? 簡単明瞭だ。ネット通販が主流になっているからである。

 アメリカのデータからも、山形屋(鹿児島市)の倒産は必然であることがわかる。この会社が倒産した原因を挙げればさまざまな原因がある。若者が百貨店離れを始めたというのは30年前から耳にしていたが、最大の要因はアメリカと同様にネット通販に市場を乗っ取られたことにある。この傾向が続くのであれば、日本の地方の百貨店は大半、姿を消すであろう。残るのは大都市部の高額所得者のお客が重層に存在しているところとなる。その他で生き残りの可能性があるとすれば、インバウンドのお客が途切れない都市である(もっとも、将来にわたってインバウンド増となることは保証できないが)。

スーパーも百貨店と同じ轍を踏む

 マルキョウが、ネット通販の巨人・アマゾンとタイアップすることが報じられた。地域の中堅スーパーがネット通販へ舵取りしようとしているのである。「新店舗展開しても売り上げ増が期待できない」と判断したからであろう。この変身・転身が成功しそうであれば、どの業者も真似することに奔走するだろう。スーパーの店舗業態が一瞬にして様変わりする可能性がでてきた。

 さらに脅威の敵が待ち受けている。「スーパーの最優良企業はイトーヨーカ堂」という評価はもう過去のものとなった。大株主たちは「イトーヨーカ堂を外部へ売却しろ!」と迫っている。世の中の様変わりには驚く。加えること、外部の小売業(例えばドラッグストアなど)がスーパー業に殴り込みを始めた。スーパー業態外からの参入は限られたパイの食い合いであり、淘汰をもたらす戦争が激化するであろう。

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