インドの未来:日本にとっては重要性を増す大事な投資先
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、6月14日付の記事を紹介する。世界がインドに注目しています。
国連の最新の人口統計予測によれば、この4月末、「インドの人口は中国を凌駕した」と報告されました。
本年末のインドの人口は14億2,900万人となり、中国は14億2,600万人になると予測されているからです。
このままでいけば、インドの人口は2063年には17億人を突破するでしょう。
しかも、インドの特徴は若年層の大きさです。何しろインドは女性が平均して6人の子どもを出産してきました。
人口の多さは経済力にも影響します。
インド国立銀行の予測によれば、GDPですでにイギリスを抜いたインドですが、ドイツや日本も間もなく追い抜き、2029年にはアメリカ、中国に次いで世界第3位の経済大国に躍り出るとのこと。
今後10年以内に、インドのGDPは現在の3兆4,000億ドルから8兆5,000億ドルに急増すると見られています。
ちなみに、今年の経済成長率は7%となる模様です。
IT人材の宝庫でもあり、日本を含め欧米各国ではインド人のITエンジニアの活躍が目立ちます。
要は、華僑と対抗するように“印僑”の存在が無視できないということです。
もちろん、インドにはかつてのカースト制度の名残もあり、社会階層間や異なる宗教間の対立もあります。
しかし、経済的な豊かさが広がれば、そうした「負の遺産」も早晩克服されるに違いありません。
日本ではほとんど知られていませんが、インド人の大富豪の数は中国に引けを取らないほど急増しています。
たとえば、自然再生エネルギー会社である「アダニ・エンタープライズ」は過去5年間で資産価値を50倍に拡大しました。
同社は2030年までに世界最大の自然再生エネルギー企業になることが確実視されています。
港湾、道路、鉄道などインフラ整備ビジネスで財をなしたアダニ氏ですが、モディ首相の経済政策にも深く関与していることから「モディ応援団」の団長とまで言われているほどです。
そんなインドでは6月5日開票という1カ月半におよぶ世界最大の総選挙が実施され、モディ首相が3期目を手にしました。
しかしながら、モディ首相の率いる人民党は議会での議席を大きく減らしたのです。
初めて議会での単独過半数を失うことになりました。
今後は、連立を組むほかの少数政党との駆け引きが欠かせなくなり、かつてのような「モディ一色」とはいかなくなります。
とはいえ、モディ首相は持ち前の強気の姿勢を崩していません。
「自分にはインドのために大きな計画がある。その実現にこれまで以上にまい進する」と自信を見せています。
いずれにせよ、モディ氏は米国のデータインテリジェンス会社の調査によれば、「25人の世界の指導者のなかで国民から最高の75%の支持率を享受している」とのこと。
今回の選挙で議席数は減らしたものの、未来の大国を目指す強気の姿勢はまだまだ多くの国民からは支持を集めていることは変わりません。
インド国内の野党からは 「権利が無視され、独裁は加速する一方だ」 と非難が起きているようですが、経済成長の実績を示すことで、そうした批判や懸念を一掃しようと目論んでいるわけです。
そんなモディ首相にとって、日本の技術力や投資資金力は自国の経済発展に欠かせないもの。
そのため、日本にもたびたび足を運び、政界や経済界との関係強化に努めています。
日本の経済界もインドの可能性に期待を寄せ、2025年2月には日本の文化や技術を紹介する大規模な日本エキスポをインドで開催する予定です。
日本政府が安倍元首相の時から提唱している「インド太平洋戦略」を名実ともに実現する好機到来といえます。
著者:浜田和幸
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