労働災害発生件数が増加、大工の高齢化影響か~住団連
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(一社)住宅生産団体連合会(住団連)がこのほど発表した「令和5(2023)年低層住宅の労働災害発生状況報告書」によると、23年に会員企業で発生した休業日数4日以上の労働災害発生件数は379件で、前年比53件の増加となっていた。また、このうち死亡災害は2件(前年4件)となっていた。
53件増加(絶対件数)の内訳は、新築工事で 54 件増加、増改築・リフォーム工事で2件減少、解体工事で1件増加となっており、新築工事が全体を増加させるかたちとなった。
23年の会員企業は201社で、前年の246社から減少。完工棟数は24万3,718棟で、前年の22万6,239棟から増加している。
労働災害発生件数(1,000 棟当たり)を見ると、全体の発生件数は前年比122%の増加で、内訳は新築工事で同98%の減少、増改築・リフォーム工事で前年と同数、解体工事で同128%の増加となり、「解体工事の増加傾向を抑制するための効果的な対策が必要である」とした。
作業分類別では、「内部造作工事」が前年比で約2倍となる28.8%となり最多となった。次いで「建方」19.8%、「外装」9.2%、「設備」7.9%の順となった。内部造作工事は脚立による高所作業で油断が生じやすいことから、脚立の正しい使い方の遵守や足場台の普及促進が必要だとしている。
高まる熱中症のリスク
職種分類別では、現場での作業時間が最も長い「大工」の労働災害が全職種の約4割を占めていたが、これは例年通りだ。大工については、職人の高齢化が進んでいる職種であり、「労働災害発生は高齢化による身体の衰えの影響もある」と見ている。
このほか、ここ数年の状況として、「とび足場」・「基礎」・「屋根、板金」・「大工」・「外構工」など、屋外の作業の多い職種では熱中症の発症が顕著になっている。
熱中症に関しては、全職種に発症リスクがあり、作業時における服装・装備や、作業計画、現場環境など具体的な事前対策が必須となるとしている。
原因・型別労働災害発生状況は、近年減少傾向ではあるものの、23年も依然として「墜転落」(40.6%)が最も多く発生している。続いて「工具(切れ・こすれ)」(20.1%)、「転倒」(14.8%)の順となっている。
なかでも昨年は「工具」による事故が急増し、前記3項目で全体の約4分の3(75.5%)を占めている。また、墜転落の内訳では、昨年比で「屋根」からの転落が大きく増えており、「開口部」や「ハシゴ」からの墜転落も同様に増えていた。
雇用形態別の割合を前年と比較すると、23年は「労働者」(日本人と外国人の合計)がマイナス9.7%、「事業主」はプラスマイナス0.0%、「一人親方」はプラス10.0%となっており、労働者が減少した分、一人親方が増加していた。
【田中直輝】
法人名
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