世界第3位の経済大国に躍り出るインドの未来
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、9月27日付の記事を紹介する。このところ、インドの躍進ぶりは目を見張るばかりです。人口規模で中国を抜き、世界1の座に就いたインドですが、成長一途の国内市場を武器にGDPの拡大を加速させています。
何しろ、今後6年以上にわたり、1年半ごとにGDPを1兆ドルずつ増加させる勢いです。このペースで行けば、2032年までに10兆ドルを超えることが確実視されています。2030年までにアメリカ、中国に次ぐ、世界第3位の経済大国になるでしょう。
その強みはIT技術を駆使した製造業にあります。いわゆる「メイド・イン・インディア」(インド製)の商品が世界市場を席捲するようになってきました。すでに日本も韓国もインドの後塵を拝するようになっています。
国内の平均所得も急拡大です。海外からの投資や人材確保の動きも活発化しており、アメリカ人の留学先や就職先のナンバー1は、今やインドに他なりません。
また、その逆の流れも顕著で、アメリカに留学し、アメリカで就職し、アメリカ市民権を取得するインド人の数は中国人を抜き、600万人に達しています。世界を舞台に活躍するインド人の急増ぶりには驚かされざるを得ません。
そんなインドをけん引しているのが3期目を迎えたモディ首相です。強烈なヒンズー至上主義を掲げ、伝統的な「非同盟外交」を推し進めています。また、自らが率先して普及に努めているのがヨガです。肉体の柔軟性を養うのみならず、精神的な強靭性を育む健康法として、世界の注目を集めています。
そんなモディ首相ですが、今週、ニューヨークの国連本部で開催された「未来サミット」に出席し、国際社会を唸らせる演説を行いました。
曰く「世界の未来は過去の失敗を繰り返さないこと。今、世界は希望と絶望の狭間に陥っている。東西の対立も南北の不信も克服されないまま。今こそ、冷戦的な感覚を振り払い、平等な価値観を世界共通の判断基準に据える時。戦場での争いを停止し、皆が力と知恵を出し合う共存共栄の道を選び取ろう。改革を恐れず、国連がその先頭に立つべき時」。
モディ首相は国連でのサミットに先立ち、QUADサミットにも参加し、バイデン大統領や岸田首相とも議論し、その後、国連ではゼレンスキー大統領とも協議。先にはプーチン大統領とも首脳会談を行いましたが、近く、習近平国家主席とも直接交渉に臨むとのこと。
要は、自らが先頭に立ち、国際社会の危機的状況を打開する道を見出そうと全身全霊で向き合っているわけです。
実は、同じ精神で、国内に残るカースト制度の残滓や地域間の格差の問題にも取り組んでいます。コロナウイルスなどの感染症対策やウクライナ戦争の平和的解決にも知恵を絞っているようです。
日本では知られていませんが、ウクライナの戦場にはインド人が数多く巻き込まれています。後方支援活動という名目で高額の給与に惑わされ、ウクライナに連れて行かれたものの、約束と違い、最前線に投入されてしまい、命を失うか負傷したインド人が続出している模様です。
モディ首相はウクライナとロシアの双方に掛け合い、そうしたインド人の救出にも陣頭指揮を執っています。しかも、インド政府はウクライナ戦争の終結後を見通し、ウクライナの農業や鉱業の支援策をウクライナとロシアの双方と協議を進めている模様です。まさに、インド式「裏技外交」と言っても過言ではありません。
日本はそうした柔軟な非同盟外交を推し進めるインドと、これまで以上に連携すべきではないでしょうか。
著者:浜田和幸
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