六本松の不動産会社に聞く賃貸動向
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堅調な住居・テナント需要
「1階の路面なら3万円/坪、基準階でも1万円台後半/坪で募集される物件が増えてきました」──そう話すのは、六本松エリアで20年以上にわたって不動産賃貸仲介および管理を手がける(株)アイネット(福岡市中央区)の代表取締役社長・德田泰寛氏だ。
同社では、2025年8月頃の竣工予定でテナントビル「六本松233プロジェクト」の開発に取り組んでいる。RC造・地上7階建で、物販・飲食・サービス・オフィス用途での賃貸を計画。「他物件の動向を見ながらテナント募集を開始する予定ですが、空室が気になる新築物件もある傍らで、大手企業がオフィスとして入居する新築物件もあり、需要は読みにくいのが現状といっていいでしょう。ただ、堅調な住居ニーズを裏付けるかのように、飲食店を中心にテナント需要は見込めます。エリア内においても、立地と面積や形状によってその成否は分かれると考えています」(德田社長)と話す。
堅調という住居については、「六本松エリアは住居ニーズが高く、7年以上前に竣工した六本松のランドマーク的存在である分譲マンション・MJR六本松の中古価格は、当時の分譲価格の倍以上で売買されるほどです。また、6年近く前に竣工した賃貸マンションの賃料(1LDK)も、当時12万円台だったものが15万円台になるなど、分譲・賃貸いずれも価格が上昇していることは間違いありません」(德田社長)と話してくれた。
あえて低層木造も
地下鉄七隈線・六本松駅の周辺、とくに国道202号沿いで賃貸マンションやオフィス・テナントビルの開発が相次ぐ六本松エリアでは、新築物件の募集賃料が高騰している。その背景には、地価および建設コストの高騰がある。
六本松エリアは、住居を主体としながらもオフィスおよびテナント需要が入り混じったエリアだ。物件価格が高騰するなかで、想定利回りを引き上げるには、住居よりもオフィス・テナント用途での企画が手っ取り早い。このところ住居以外の開発が目立つ理由の1つも、このあたりにあるのだろう。
六本松で多くの物件の賃貸管理を手がけるアイネットでは、開発コンサルも行っているが、「建設コスト高騰の影響は大きく、地主という有利な立場ですら、RC造で企画すると利回りが5~6%程度となるほどです。これは、土地の面積や地型の影響が大きい事例ですが、結果的に低層の木造テナントビルとすることで、安定した入居と利回りを確保する企画に落ち着きました。天神・博多であれば、縦に伸ばすメリットが大きいですが、六本松では必ずしもそうではありません。これまでにないほど、開発が難しくなっていることを実感しています」(德田社長)という。
【永上隼人】
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