投資の神様が米国株を手放し始めた理由:アメリカ経済の前途に見切り?
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、10月4日付の記事を紹介する。アメリカの下院予算員会の直近の報告によれば、アメリカの債務は35兆ドルを突破しました。ということは、負債の利払い金額は1日24億ドルに達することになります。アメリカ人1人あたりが背負わされる借金の額は2032年には4万ドルを超える見通しです。何より、多くの富裕層がアメリカに見切りをつけ海外に脱出しています。
アメリカの財政赤字は半端ありません。昨年の連邦政府の利払いは6,580億ドルでした。前年の2022年と比べ、実に38%も増えています。誰が考えても、これほど深刻な財政危機に陥っているアメリカのドルや債権を買い支えることはリスク以外の何物でもありません。お人好しの日本は例外のようですが…。
アメリカではこの8月、43万8,000人が正規の職を失いました。52万7,000人の非正規雇用は生まれていますが、雇用の不安定化が加速しています。安定した高収入の道は先細るばかり。農業省の調査によれば、子どものいる世帯の18%では「食料が十分に買えない」という貧困化に陥っているとのこと。
実は、「天才投資家」という異名で知られるウォーレン・バフェット氏に至っては、最近、これまで所有していたバンク・オブ・アメリカの株式70億ドルを手放しました。優良株の長期保有を投資の大原則にしてきたバフェット氏がアメリカを代表する金融株に見切りをつけたということです。
加えて、アップルの株もほぼ半分にあたる500億株を売却。個人資産は1,440億ドルを誇る世界有数の大金持ちのバフェット氏ですが、間近に迫るアメリカ経済破綻を回避する手立てを講じようとしているに違いありません。
つい最近までアメリカは、強力な政治力や軍事力を背景に、国際的な機軸通貨であるドルを外交上の武器として活用してきました。
アメリカの議会予算局の見通しでは、本年のアメリカの国防予算は8,700億ドルを突破する模様です。問題は負債の利払い額が8,920億ドルに達するということ。国防予算を上回る金額を借金の利息に当てているわけです。
これでは海外での戦争や経済支援など継続できないはずです。ウクライナへの軍事支援や経済支援も「絵に描いた餅」になることは火を見るよりも明らかです。
来る大統領選挙でハリス候補かトランプ候補のどちらが選ばれても、負けた陣営は敗北を認めず、力ずくでホワイトハウスを占拠する可能性が取りざたされています。
そもそも今でも分裂国家の様相を呈しているアメリカですが、大統領選挙戦でこうした深刻な問題はまったく議論されていません。であれば、遅かれ早かれ内戦状態に突入しそうな雲行きです。
そのため、FBIの分析官に言わせれば「最悪の事態に備えておくこと。先ずは食料や医薬品の確保。そのうえで銃や銃弾の用意。できれば安全な地下壕に隠れることが望ましい」とまで、警告を発しています。
日本では想像ができないでしょうが、バフェット氏のような先を読み、投資で大儲けを重ねてきた人物の言動には要注意です。なぜならアメリカ政府の言いなりにアメリカのドルや国債、そして株式を買い支えてきたのが日本ですから。
著者:浜田和幸
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