2024年11月05日( 火 )

マングローブ再生で「地球に恩返し」 SDGsにも資するシルボフィッシャリー

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ワイエルフォレスト(株)

「リコービンタンの森」にて撮影
「リコービンタンの森」にて撮影

創始者・山本氏の想い──

 ワイエルフォレスト(株)は、かつて輸入木材業を営んで事業を成長させた創始者・山本亮氏が、機上から見たスマトラ島海岸沿いの広大な干潟の光景に衝撃を受け、「木を植えることで地球に恩返しがしたい」という想いを抱いたことから始まった。2004年7月に会社を再起動し、06年からは木材輸入取引先の1つであったインドネシア共和国でのマングローブ植林事業を開始。以降18年間、現在に至るまでマングローブを植え続けてきた。

 世界人口80億人にまで膨れ上がった人間による地球温暖化の悪影響は、森林破壊や砂漠化の増大、異常気象、災害、生態系の乱れ、作物の不作、感染症の増大など、今や急速にその進度を上げている。

 23年9月に亡くなった山本氏は生前、「これまで人間が文明の発展の代償に排出してきた二酸化炭素の後始末を、これからの若い世代に押し付けて良いのか?」「このままでは子や孫の世代に、胸を張って地球の未来を託せない」――と語っていたが、その想いは現代表取締役社長・阿久根直人氏にも受け継がれている。

SDGsやESG経営にも寄与

 同社は現在、インドネシア共和国内で「シルボフィッシャリー事業」を展開。これは、水質や土壌の汚染で養殖ができなくなり遺棄された養殖池を整地し、そこにマングローブを植えて育てることで生態系を取り戻すとともに、持続可能な方法で魚やエビ等の水産物の養殖を行うもの。植林されたマングローブが成長する過程で生態系再生や二酸化炭素吸収に寄与するだけでなく、現地住民の生活も安定・向上させることが可能な取り組みで、昨今世界中で叫ばれている地球温暖化対策やSDGs、ESG経営といった活動に貢献できる優れものだ。

 同事業にはインドネシア政府も強い関心を寄せており、09年から同国海洋水産省所轄の海洋水産高等専門学校との共同研究を実施。22年には同省とシルボフィッシャリーの普及拡大の協力協定を締結し、その取り組みの第1弾として、共同で技術的なガイドラインを作成・公表している。

 同社が今後、さらなる植林事業の拡大のために目標としているのが、二酸化炭素排出削減を要望する企業から委託を受け、シルボフィッシャリー事業をインドネシア国内各地で展開・発展させていくことだ。世界各国が脱炭素へと舵を切り、SDGsやESG経営などへの取り組みがもはや企業経営に欠かすことができない要素となりつつある現在、同事業は「持続可能」という観点から追い風を受けていると言っても過言ではない。

 今後、日本全国の企業とも連携して事業展開を進めていく方針としており、同社の事業はますます注目を集めていくことだろう。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:阿久根直人
所在地:福岡市博多区築港本町6-1
    福岡印刷会館3F
設 立:1970年2月
資本金:7,000万円
TEL:092-263-8221
URL:https://ylforest.co.jp

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