船井電機破産のトドメとなった異業種・ミュゼの買収
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10月24日に東京地裁から破産手続き開始の決定を受けた船井電機(株)。テレビなどのOEM生産で大きなシェアを築き、「世界のFUNAI」と称されるようになったが、低価格製品を供給する中国や韓国との厳しい競争にさらされ、業績が悪化。経営多角化を目指した脱毛サロンチェーン「ミュゼプラチナム(MPH(株)、以下ミュゼ)」の買収に失敗したことが、トドメとなった。
船井電機は2017年から(株)ヤマダデンキと組んでヤマダオリジナルブランドのテレビを生産するなど、経営再建に取り組んでいた。21年5月には事業再建を目指し、出版会社の(株)秀和システムの傘下に入り、その後、秀和システムの上田智一氏が社長に就任していた。
なお、船井電機の業績は08年3月期には売上高が3,967億円だったが、その後は低迷。船井HDとなる前の20年3月期の連結業績は売上高884億円、最終赤字23億円となっており、その後も事業規模を縮小し、収益面でも苦戦していた。
ミュゼの買収は23年4月で、これは美容家電事業の拡大を狙ってのことだといわれるが、ミュゼは買収時点で資金繰りが悪化していた。船井電機は支援により相当額の資金を流失させ、挙げ句の果てには今年3月、KOC・JAPAN(株)に売却する事態となっていた。
ミュゼ株を売却した船井電機HDは、ミュゼが負っていたネット広告社への20億円ともいわれる負債についての連帯保証をしていたことも、破産の大きな要因の1つになった模様だ。
「世界のFUNAI」といわれた船井電機の破綻は、日本家電業界の衰退を象徴するものであるが、創業者の船井哲良の退任以降、経営者がひんぱんに代わり、抜本的な企業改革に乗り出せなかったことも要因の1つとも目される。
【田中直輝】
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