2024年11月25日( 月 )

「石破首相の地方創生と医療制度改革への意気込み」地元での対応が先決では?

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
 今回は、11月22日付の記事を紹介する。

鳥取市街 イメージ    石破首相は「地方創生」を旗印に掲げ、その先に「日本創生」を実現したいと主張しています。そのため、2023年末に策定した「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋」(改革工程)に基づき、「様々な改革を進める」と国会での所信表明演説でも説明。具体的には、医療DXによる効率化や質の向上、医療提供体制の改革を進めることで、「歳出の最適化による社会保険料の上昇を抑制すること」に主眼を置くとのこと。

 石破首相は「医療・年金・子育て・介護など、社会保障全般を見直し、国民が安心できる社会保障制度の確立にまい進したい」との決意も表明。同首相にとっては、少子化と人口減少は「日本の根幹に関わる課題」であり、「静かな有事」と受け止める必要がある状況なのです。

 そうした観点から、11月1日、石破首相は「経済財政諮問会議」を招集しました。会議に出席した民間議員から、国全体の成長に加え、国民のウェルビーイングを重視することを求める意見が出され、石破首相は「全国津々浦々まで、1人ひとりが豊かで幸せな社会を構築することを目指したい」と積極的に反応。そのためにも、「国民や地方の医療福祉体制の見直しと財政的な裏付けが欠かせない」との考えも強調しました。

 石破首相は「安全保障」や「国防」に関心が高いと見られていますが、日本で一番人口の少ない鳥取県選出の衆議院議員であり、地元で進む少子化と医療サービスの限界に日ごろから関心を寄せているようです。そのためか、先の自民党の総裁選挙においても、「地方創生」と並んで、「薬価制度の見直し」と「医薬品の安定供給を実現するための原材料確保」を訴えていました。

 実は、医薬品産業の在り方に最も多く言及していたのは元厚生労働大臣の加藤勝信氏と石破氏の2人でした。石破内閣で、この加藤氏が財務大臣に抜擢されたのも、医療制度改革には厚労省と財務省の連携が不可欠との認識が石破氏にあったことが影響していたと思われます。

 また、厚労大臣には自民党厚生労働部会長を務めた福岡資麿参議院議員を抜擢。福岡大臣は自民党内において社会保障制度調査会幹事長代理、創薬力の強化育成に関するプロジェクトチーム座長代理などを務め、社会保障や医薬関係の政策通として知られる存在です。

 こうした人事にも、石破首相の医療制度改革を実現し、「今の時代に適合した社会保障制度を創生せねば」という熱い思いが込められているように見受けられます。

 問題は安倍元首相から「言うだけ番長」と揶揄された石破氏がどこまで実行力を発揮できるかという1点に尽きます。

 地元鳥取県では人口流出が止まらず、その一因も医療サービスの遅れにあるとの指摘もあるわけで、そうした声にも真摯に耳を傾け、改革に本腰を入れてもらいたいものです。


著者:浜田和幸
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