福岡市が次期基本計画策定へ 「生活の質」「都市の成長」両輪に
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来年度からの基本計画 答申案の最終取りまとめ
11月14日、福岡市総合計画審議会の総会が開催された。今回の議題は「第10次福岡市基本計画(答申案)について」で、第10次福岡市基本計画の策定に向けて今年4月からスタートしていた審議会の最終的な取りまとめとなる総会という位置づけ。会長・萩島理氏(九州大学副学長・教授)および副会長・辰巳浩氏(福岡大学理事・工学部長)をはじめとした計38名の審議会委員のほか、事務局を務める福岡市総務企画局などが一堂に会し、これまで議論を重ねてきた答申案について最終的な意見を交わした。
福岡市総合計画審議会とは、総合計画に関する事項について市長の諮問に応じて審議し、その結果を市長に答申し、また総合計画の推進に関し報告を受けた事項について、市長に意見することを目的に設置した審議会のことである。委員は学識経験者や民間企業・地域団体の代表者、行政機関などから市長が任命した計48名(2024年11月時点)が務める。委員は「生活の質部会」と「都市の成長部会」の2つの部会に分かれて、基本計画における分野別目標や空間構成目標、区のまちづくり目標、指標設定の方向性などについて議論を実施。そうして策定した基本計画原案を、パブリックコメント(意見公募)などを経て修正を加えて、今回開催の総会で最終的な答申案を取りまとめる。そうして取りまとめた総合計画審議会からの答申を、12月にも高島宗一郎・福岡市長に対して提出。そうして議案上程(成案)となれば、「第10次福岡市基本計画」(25年4月~35年3月)として、10年間の長期にわたる福岡市のまちづくり目標・施策としての効力を発揮していくことになる。
策定して終わりではなく、いかに実行していくか
今回の総会時点での第10次福岡市基本計画(答申案)では、都市経営の基本戦略として「(1)生活の質の向上と都市の成長の持続的な好循環を創り出す」「(2)多様な人材が育ち、集い、チャレンジできる環境をつくる」「(3)福岡都市圏全体として発展し、広域的な役割を担う」の3つを提示。すべての人が自分らしく生きることができる多様性と包摂性のあるまちづくりや、子どもや若者が健やかに成長できて市民が安全・安心で暮らせるまちづくり、グローバルな人材や企業が活躍できる都市づくり、九州および日本・アジアにおいて先導的な役割を担う独自の魅力および活力のある都市・地域づくりなどを進めていこうとしている。
基本計画における分野別目標では、「一人ひとりが心豊かに暮らし、自分らしく輝いている」「すべての子ども・若者が夢を描きながら健やかに成長している」「地域の人々がつながり、支え合い、安全・安心に暮らしている」「人と自然が共生し、身近に潤いと安らぎが感じられる」「磨かれた魅力に人々が集い、活力に満ちている」「都市機能が充実し、多くの人や企業から選ばれている」「チャレンジ精神と新たな価値の創造により、地域経済が活性化している」「アジアのモデル都市として世界とつながり、国際的な存在感がある」の8つを掲げている。これらは、基本構想に掲げる都市像の実現に向けて、人やまちをどのような状態としていくのかを示したもので、各目標は相互に密接不可分な関係にあり、関連する目標との間で相乗効果が生まれることを目指して取り組みを進めていくとしている。
また、空間構成目標では、市民生活や都市活動の場となる都市空間を、どのように形成し、どのように利用するかを目標として提示。福岡市の都市活力を牽引する「都心部」、都市の成長を推進する「魅力・活力創造拠点」、界隈性のある街空間のなかで市民生活が営まれる「広域拠点」「地域拠点」「日常生活圏」、豊かな自然環境を継承する「農山漁村地域」など、それぞれのエリアの個性や強みを生かしながら、交通ネットワークにより移動の円滑性が確保された「コンパクトでコントラストのある都市」の実現を目指していくという。
<主要な拠点>
■都心部
天神、博多駅、博多ふ頭・中央ふ頭を中心として、東は御笠川、南は百年橋通り、西は大正通りに囲まれたエリア
■東部・南部・西部の広域拠点
香椎・千早(東部)、大橋(南部)、西新・藤崎・シーサイドももち(西部)
■地域拠点
和白、箱崎、雑餉隈、六本松・鳥飼・別府、長住・花畑、野芥、姪浜、橋本、今宿・周船寺
■魅力・活力創造拠点
アイランドシティ、九州大学箱崎キャンパス跡地、舞鶴公園・大濠公園地区、シーサイドももち、九州大学伊都キャンパスおよびその周辺
■拠点連携地域
東部拠点地域(アイランドシティ~東部拠点)と西部拠点地域(九州大学伊都キャンパス~今宿・周船寺)では、拠点間の連携を図りながら一体的な拠点地域の形成を図るさらに、分野別目標と空間構成目標を踏まえて、市内7区それぞれの「区のまちづくり目標」も提示。たとえば博多区では歴史・伝統を生かしたまちづくりの方向性や、中央区では天神ビッグバンで生まれる新たな都市機能や空間を活用した方向性、西区では九州大学との連携交流によるダイバーシティのまちづくりなど、行政区ごとに「区の特徴と課題」「まちづくりの目標と取り組みの方向性」を示している。
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今回の総会開催により、今年4月から約7カ月、総会・部会を合わせて計11回開催されてきた福岡市総合計画審議会が、ひとまずの区切りとなる。今後は議案上程(成案)を経て、25年4月から正式に「第10次福岡市基本計画」として進んでいくことになるが、こうした基本計画は策定したらそれで終わりではない。これからまだしばらくの間は人口増が続いていくと見込まれている福岡市において、今回の基本計画を具体的に実行していきながら、「都市の成長」と「生活の質」を両輪としていかに都市の持続的な成長につなげていけるかが、今後は問われることになる。
【坂田憲治】
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