2025年01月31日( 金 )

トリビュートの不動産再生(4)開発用地の供給事例

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注目される不動産再生 福岡におけるパイオニア

    前回(vol.79)は、再開発を進めるために必要な「権利調整」について掲載し、デベロッパーへ開発用地を供給することを得意とする(株)トリビュート(福岡市中央区)の取り組みについて解説した。

 同社は、福岡市内や東京23区内において、建物改修などによるビルの収益向上=バリューアップ、「立ち退き」「権利調整」などを経た開発用地の提供など、数多くの不動産再生に携わってきた。前回解説したように、同社は一部で開発規制があるものの低利用の土地が多く残っている博多旧市街エリア、同じく低利用の土地が多く残っている天神近接エリアに力を入れており、デベロッパーへの開発用地の供給を加速させている。

 今回は、福岡における不動産再生のパイオニアである同社が、これまでに手がけてきた案件について紹介する。

トリビュートによる開発用地化の事例

 同社が手がけた過去の事例では、駅から徒歩3分と好立地ながら築年数が古く空きビルとなっていたものを取得し、リニューアル後に満室にしたうえで売却した事例。同駅から徒歩1分の9階建ビルでは、前オーナーが使用していた上層階が空室となっていたが、こちらも満室にして売却した事例。山手線の駅から徒歩3分の土地では、テナントの立ち退きから手がけ、建っていた建物を取り壊し、更地にして売却した事例。4分の3が空室状態だった築30年以上の築古物件では、外壁、屋上工事を行い、周辺語学学校の寮ニーズに適した物件へ再生し、売却した事例などがある。さらにここ数年、同社が福岡で手がけた再生プロジェクト事例は、次のようなものがある。

開発用地の供給事例①
「天神エリアのオフィスビル」

    テナントの自社ビルを取得し、デベロッパーへ売却した。リースバックによりテナントは入居を続けていたが、次期入居ビルの紹介によりテナントは立ち退き、開発用地として売却。天神エリアのまとまった土地ということで、住居・オフィス・テナントビルいずれのデベロッパーからも多くの引き合いがあった。

開発用地の供給事例②
「西中洲の土地」

 1区画の敷地のうち、接道部分と未接道部分で所有者が分かれていた物件をまとめてデベロッパーへ売却した。取得先は複数の個人だったが、1区画まとめての売却が最適な物件で、それぞれの意向を調整したうえで売却。テナントビルが開発された。

開発用地の供給事例③
「春日市のアパート」

    空室が目立っていた駅徒歩数分のアパートを不動産会社へ売却した。ほとんどが空室で収益が低迷していたアパートにおいて、入居者と交渉し短期間での立ち退きに成功。店舗物件の開発も可能な幹線道路沿いの駅近物件として売却をはたした。

開発ニーズを知る
地場企業の強み

 同社の代表取締役社長・田中稔眞氏は、「バリューアップでは、ファンドなどが手を出しにくい中小規模のオフィスビルを。開発用地の供給では、地型や面積がネックとなっている都心の狭小地を。といったように、地場の不動産会社だからこそ取り組める隙間に当社の強みがあります」と話す。

 事業系の不動産をメインに取り扱う同社だが、とくに開発用地の取得については、個人が相手となるケースが多く、「何と言ってもコミュニケーションが重要」とトリビュートのグループ会社・(株)TRホールディングスで専務取締役を務める永田誠氏は強調する。「高齢化や相続発生などをきっかけに問い合わせをいただき、そこからプロジェクトに着手していくパターンが多いのですが、隣地の買い増しやそれにともなう立ち退き行為については、時間をかけて慎重に進めていく必要があります。こういった部分は、やはり地場企業にアドバンテージがあります。また、需要家であるデベロッパーのトレンドやニーズをよく知ることも、我々が得意とするところです」と加えた。

 現在、同社では北天神の近接エリアで土地を取得し、開発用地化を図っているほか、天神エリアではアライアンス企業とともに再開発に向けたプロジェクトを進めているという。

【永上隼人】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:田中稔眞
所在地:福岡市中央区渡辺通1-1-1
    サンセルコビル6F
設 立:2009年4月
資本金:1,600万円
TEL:092-292-2313
FAX:092-292-2314

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