2025年01月31日( 金 )

八潮市の道路陥没事故について

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 福島の千葉茂樹です。現在、岩手の家のメンテナンスにきています。八潮市の道路陥没事故について、私の記憶では、30年ほど前、道路の掘削工事(水道管の工事)で「ガス管を誤って切断」した事故がありました。この際に、テレビの解説者が以下の点を指摘していました。

  • 日本は行政(管理)が「縦割り」で、水道は水道、ガス管はガス、など管理者が違うため、お互いに埋設位置を認識していない。だからこんな事故が起きる。
  • ヨーロッパ(確か西ドイツ)では、計画的で、道路の下に断面が四角形の空間(鉄筋コンクリート、管状)をつくり、ここに公共のガス・上下水道、電話線などが通っている。不具合が生じた場合は、この空間に入って作業する。

 日本は、行きあたりばったり(つぎはぎだらけ)、計画性なし、縦割り行政で、問題だらけです。高度経済成長期につくったインフラが、耐久年数を超え、これからも同様の問題が多発するでしょう(多分、高度経済成長期は「イケイケ、ヤレヤレ」で、現在のような疲弊した日本社会を想像しないでつくったのでしょう)。(若い人は知らないでしょうが、この時期は労働賃金のベースアップが毎年10%くらいだったと思います。貧しい日本が毎年豊かになっていく時期でした)。

 話は戻って、バイパス道路の建設時など新設道路建設時に、道路の下か脇に、上記のような「インフラ施設(断面が四角形の空間)」を同時につくっておけば、今回のようなことは起きなかったと思います。第一、土のなかでは「点検が難しく」かつ埋設物が土壌と化学反応(腐食)を起こします。何でこんな単純なことがわからなかったのでしょうか。

  また、日本は、コスト・コストで、コスト削減のため集中管理をする。今回事故が起きた八潮市の下水管の集約がまさにその通りです。集中管理は、管理しやすくコストが安いメリットはあるが、逆に集約部で問題が生じると全機能停止となる。これもどこかで言われていました。

 リスク低減には、集約しすぎないで、分散する必要があります(一部が壊れても、バックアップできるようにする必要がある)。少し考えれば、わかることです。

  また、(私も公務員をしていましたが)公務員は問題だらけです(上下水道の管理などは公務員がしています)。公務員は、通常、現在のポストを数年で異動する。だから、任期中に問題が起きなければ良いと考える。これが問題です(だから問題の先送りが生じる)。

 たとえば、私は、最後の学校で生徒指導部長をしました。生徒指導部の内規を見た所、昭和40年代につくったものでした。私の小学校時代のものでした。場合によっては、内規に規定がない。呆れました。

 このため、私は内規をつくったり改定したりしました(小規模学校だったので、自分でいろいろできた)。また、根底の問題は、管理職が現状維持を望むことです(数年で異動するので、この間、問題が起きなければよいと考える)。

 たとえば、私が、福島県教育員会に先駆けて「いじめ対応規定」をつくったら、管理職に却下されました。理由は「県教委より先につくるな」ということでした(全国的にいじめが問題化していたにもかかわらず、福島県教育委員会にはいじめ対応規定がなかった。この時期、福島県の公式見解は「いじめゼロ」でした。いじめがないはずはありません。福島県は内部の問題を隠蔽します)。

  なお、私は仕事が好きだったわけではありません。私が好きだったのは「窓際族」です。私に、ポストを与えると、上記のようになります(私はポストに合わせて仕事をするだけです)。そっと窓際族にしておいてほしかったです。

<プロフィール>
千葉 茂樹
(ちば・しげき)
 福島自然環境研究室代表。1958年生まれ。岩手県一関市出身。専門は火山地質学。2011年3月の福島第1原発事故の際、福島市渡利に居住していたことから、専門外の放射性物質による汚染の研究を始め、現在も継続している。

【寺村朋輝】

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