【異色の芸術家・中島氏(19)】画家の道とは~アトリエ・メモランダム

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 絵画、一人演劇と1つの分野にとどまらず活動し、ニューヨークに加えドバイへも活躍の場を広げようとしている異色の芸術家・中島淳一氏。この1年に福岡アジア美術館で個展を2回開催するなど、精力的に創作活動を続けている。その中島氏から送られてきた「アトリエ・メモランダム」を以下に紹介したい。

 画家には画家の道がある。人としてこの世に生まれ画家を志したからには画家の本分を尽くさねばならないのが道理である。他の何者でもなく画家である以上は画家らしい道を歩まねばならない。必死に描き、作品を遺す。作品は必ずしも世に認められず瞬時にして廃棄される運命にあるかもしれない。精神科医の息子はゴッホの絵が邪魔になったのか、500点もの素描を燃やして灰にした。それでもほかの売れなかった大量の作品はゴッホの弟テオの妻ヨハンナが管理をし、ゴッホの死から15年後の1905年にアムステルダムの美術館でゴッホ展を実現。ヘレン・クレラー・ミュラーは08年からゴッホの絵を買い始め、油彩90点、素描180点あまりを蒐集して、ゴッホを永遠不滅の画家にした。はたして私のアトリエを埋め尽くすF130や4mの大作は如何なる運命をたどるのか。神のみぞ知るである。私もまたゴッホのように狂人の如くひたすら描き続ける以外に道はない。

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