UAゼンセン、2025年春季労使交渉第2次妥結発表~小売業界で賃上げ進むも課題残る
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スーパー、百貨店、ドラッグストア、家電量販店、専門店など多くの小売企業の労働組合が結集する国内最大の産業別労働組合であるUAゼンセンは19日、2025年春季労使交渉の第2次妥結状況を発表した。
183組合で妥結し、正社員の制度昇給やベースアップ(ベア)を含む加重平均は1万7,149円(5.38%)となった。このうち76組合が満額回答を獲得し、さらにそのなかの18組合が満額を超える結果となった。
組合員300名未満の組合では48組合が妥結し、加重平均は1万7,292円(5.73%)、ベアなどの賃金引き上げ分は1万2,460円(4.07%)で、300名以上の組合の加重平均1万7,145円(5.37%)を上回った。これにより、企業規模間の格差是正が進んでいることがうかがえる。
初任給については、高卒(111組合)の平均が20万8,459円で1万1,404円(5.5%)、大卒(139組合)の平均が24万8,826円で1万2,921円(5.2%)の引き上げとなった。
一方、短時間(パートタイム)組合員では115組合が妥結し、時給ベースの加重平均で73.8円(6.37%)の引き上げを獲得した。契約社員組合員では、妥結した24組合の加重平均で1万2,260円(5.15%)の引き上げとなり、同時点として10年連続で正社員組合員の賃上げ率を上回った。これにより、雇用形態間の格差是正も進んでいる。
12日に発表された第1次集計では、食品スーパー大手のライフコーポレーションが正社員で1万6,180円(5.15%)、パート時給で74.3円(6.15%)、ウエルシアユニオンが正社員総額1万5,903円(4.48%)、パート時給83.7円(7.05%)とともに満額で妥結した。
小売業界のなかで賃金水準が高いニトリホールディングスは、正社員の総合職で22年連続のベアとなり、1人平均2万1,114円(5.51%)の引き上げで妥結した。パート・アルバイトの時給は1人平均58.5円(5.0%)アップで、12年連続の引き上げとなる。また、初任給は四年制大学卒で29万円(IT枠30万円)、大学院卒で30万5,000円(IT枠31万5,000円)となり、業界でも屈指の好待遇となっている。
これに先立ち妥結したイオンリテールは、正社員総額1万7,319円(5.34%)、パートタイマー時給総額81円(7.07%)の満額回答で妥結した。
小売業は、物流費や光熱費などのコスト増が負担となり、消費者の節約志向が根強いなかで、賃金アップは企業にとって大きな負担となっている。しかし、人手不足が深刻化するなか、優秀な人材を確保する必要性も高まっており、他業界と比べて賃金水準が低いこともあって、各社が前向きに取り組んでいる。
今後、業界を取り巻く環境が大きく変わることはなく、来年も賃上げによる人件費の上昇が続くと予想される。中長期的には、賃上げを可能にする生産性向上が一層急務となっており、さらなる取り組みが求められている。
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