【行政動向最前線】「通販」を取り巻くカスハラの実態とは? コールセンターで繰り広げられるモンスター客の悪行

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 商品に不満があるとして、何時間も苦情を言い続ける。対応した社員の態度が悪いと難癖を付け、謝罪を強要する。そうしたカスタマーハラスメント(カスハラ)の被害は深刻さを増している。クレーマーによるカスハラは以前から問題視されてきた。これに加え、SNSの普及にともなって、個々の企業や従業員を誹謗・中傷する問題が浮上。そうした事態を重く見た東京都や北海道などは4月1日からカスハラ条例を施行し、未然防止に本腰を入れる構えだ。各業界がそれぞれの事情に沿った対策を迫られるなか、コールセンターを舞台にカスハラに悩まされてきた通販業界も対応を急いでいる。

東京都や北海道で 条例施行

 SNS上には、カスハラの被害を訴える投稿があふれ返っている。カスハラは企業・顧客間だけの問題ではない。上司と部下、企業間、行政と地域住民など、あらゆる場面で発生する。どこからがカスハラなのかという境界線があいまいなことも、問題を複雑にしている。

 東京商工リサーチの調査(2024年8月実施)によると、カスハラを受けたことのある企業は全体の約2割に上る。カスハラの影響で「休業や退職の発生」に追い込まれた企業も13.5%を占める。その一方で、「対策を講じていない」と回答した企業は7割を超え、対策が遅れている実態も浮かび上がった。

 そうした状況を踏まえ、東京都は4月1日、カスハラ条例を施行する。北海道や三重県桑名市などでも、4月1日からカスハラ条例がスタートする。また厚生労働省では、カスハラから従業員を保護する対策を企業に義務づける方針を示している。

 東京都のカスハラ条例は「何人も、あらゆる場面において、カスタマーハラスメントを行ってはならない」と規定。行政・顧客・就業者・事業者の責務を定めた。罰則規定は設けていないものの、カスハラ防止の機運を高めるとみられる。東京都は条例のガイドラインを作成するとともに、各業界の共通マニュアルを用意。これを活用して、各団体がそれぞれの業界が抱える課題に沿った対応マニュアルを作成し、関連企業が独自の対策を立てるように促す考えだ。

心身を病むオペレーター

>>>ここから先は会員専用コンテンツです。(残り約3,300文字)ログイン登録がまだの方はコチラのフォームからお申し込みください。

...

この記事は会員限定です。
ユーザー登録すると閲覧いただけます。

関連キーワード

関連記事