田辺かずき古賀市長が「市政報告会」を開催~都市開発には地元の理解が欠かせない
10日、古賀市のリーパスプラザこが交流館・多目的ホールで「市政報告会」が開かれ、支援者を中心に約170人の市民が集まった。
「持続可能な社会」の実現
冒頭に時田正彦後援会長が挨拶し、「田辺市長の良いところは、自分ができるということをひけらかすことなく、みんなのためにという思いで取り組んでいる」と述べ、「田辺さんは将来もっと上の方に行くと思うので、そのときはよろしくお願いします」と田辺市長への期待を込めつつ話した。
田辺市長は「市長という公職を与えていただいており、以前は県議会議員という本職を選挙で与えていただいた。どれが下とか上というものはなく、それぞれの立場で社会をより良くしていく仕事を政治家はやっていかなければならない」と市長としての職務に全力を挙げることを言明した。
また宮内秀樹衆議院議員と吉田健一朗福岡県議会議員(ともに自民党)、立憲民主党の野田国義参議院議員から祝電が寄せられたことが紹介された。
田辺市長は2018年に古賀市長に就任し、約6年にわたりJR古賀駅周辺の再開発を中心としたまちづくり計画を進めている。
具体的な課題を進めるにあたっての理念について、田辺市長は「多様な主体」と述べたうえで、「みんなで力を合わせていく『共創のまちづくり』を大事にしてきた」と述べ、「我々の社会は持続可能な社会にならなければならない」「子どもや孫、さらにその先の世代に私たちが享受している良さよりもいい社会を次の世代につないでいく必要がある」と強調し、具体的には「脱炭素社会の実現」や「ワンヘルス」の推進を掲げた。
公約で掲げた「産業力の強化」の取り組み
注目されている中心市街地の再開発については、「就任以来の一丁目一番地」としたうえで「古賀駅東口の再開発は、最大地権者のニビシ醤油さんをはじめ、多くの地権者がいらっしゃるなかで大型の都市開発を行うためには、しっかりとご理解をいただくようコミュニケーションを図ることが欠かせない」と現状を説明した。
古賀駅前とともに懸案となっていたJR千鳥駅の東口は、狭隘なうえに朝夕は渋滞のため通学する地元の小中学生や県立玄海高校の生徒らの安全面が危惧されていた。
これに対して田辺氏は、「整備事業費に多額の予算を要することから地元代議士の協力も得て国土交通省との折衝を重ねた」と語り、3月に千鳥駅東口にロータリーを整備し、西鉄バスの停留所にはスマートバス停を設置したことを紹介した。
スマートバス停はデジタルサイネージを搭載した時刻表を設置し、利用者はバスの運行状況をリアルタイムで把握できるようになっている。
企業誘致については「公約で産業力の強化を掲げており、多くの企業に立地していただいているが、より多くの企業に立地していただく環境づくりを目指してきた」としたうえで「先人が工業団地を整備してくださったから法人事業税など税収面で我々が恩恵を受けている」「働く場と住む場があることはまちづくりにとって極めて重要」との認識を示した。
古賀市は今在家地区、青柳釜田地区などで都市計画の決定を行い、工場用地の確保を行ってきた。青柳釜田地区では(株)ピエトロが新工場やレストランを併設した複合施設「ピエトロファクトリーパーク」の建設を進めている。
田辺市長が「多様な主体」を理念に掲げたようにハード面の整備だけでなく、社会福祉や教育にも力を入れている。24年4月からは18歳までの子ども医療費を無償化した。福岡都市圏では古賀市が先鞭を切って実施に踏み切っており、全国市長会を通じて全国の自治体でも取り組むよう働きかけると述べた。
市民との意見交換では、30分におよび活発な意見が出されていた。田辺氏は一つ一つの意見や要望を受け止め、具体的な回答をしていた。
今回の市政報告会で印象的だったのは、田辺市長が小学校で生徒と一緒に給食を食べることなどを通じて、主権者意識を子どものころから育てる取り組みを行っていることだった。「選挙に行きましょう」と行政が啓発しても投票率は上がらない。子どものころから、社会や行政の仕組みに触れることが、長い面で考えると、そのまちの主権者を育てることにつながる。古賀市の今後の発展に期待が高まる報告会であった。
【近藤将勝】