道路の地下インフラ改善へ情報精緻化 福岡市が3Dによる検証プロジェクト開始

地下埋設物情報の3D化のイメージ
地下埋設物情報の3D化のイメージ

全国で相次ぐ道路陥没

 道路が陥没する事態が全国で相次いでいる。埼玉県八潮市で今年1月に発生した道路陥没事故では、トラック運転手1人が亡くなったほか、長期にわたる水道の寸断などにより、多くの人々が不便な暮らしを強いられることとなった。福岡市においても2016年11月に、博多区博多駅前2丁目において大規模な陥没が発生したことは記憶に新しい。

 地下には水道管や下水道管、ガス管など日常生活に欠かせないインフラ設備が多数埋設されている。しかし、古い年代に整備された地下埋設物は位置情報(埋設物間の位置関係)が図面に正確に反映されていない場合がある。また、工事設計や現場での施工をする際、手戻りや追加作業などの業務が発生するなど、効率的な作業を行えないことが課題となり、陥没が発生した後の対処療法的な対策を余儀なくされている状況だ。

 福岡市は5日、「3D技術を活用した地下埋設物情報の精緻化」による効果検証プロジェクトを実施することを明らかにした。具体的には、これまで平面管理していた情報を3Dデータとして管理する技術を活用。市内の地下埋設物情報の一部を3D化し、インフラ設備の維持管理における今後の活用可能性などを探る。3Dデータ化には地中レーダーが用いられ、設備の維持管理での効率的な活用可能性や費用対効果などを検証。これにより、陥没が発生する箇所などを確認できるようになると良いだろう。

10日にも中央区の国体道路において発生

 なお、プロジェクトの実施場所は大正通りの警固交差点から赤坂交差点までの約400m区間で、期間は6月9日 から30日。実施事業者はジオ・サーチ(株)(東京都大田区)としている。

 福岡市では10日、中央区今泉2丁目の国道202号(国体道路)で歩道にかけて縦約2m、横約4mにわたり、深さ約2mの陥没が発生した。幸いケガ人などはなかった。雨のなか、夜を徹した作業が行われ、11日午前に復旧した。

【田中直輝】

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