福岡市はこのほど、交通分野における市の基本理念や目標像、交通に関する取り組みを進めていくにあたっての基本指針を示す目的で、「福岡市都市交通基本計画」を策定した。
空間構成目標の達成に寄与
同基本計画では、市が掲げる空間構成目標(めざす姿)で示された各エリア間を円滑に移動するための交通網の充実・強化に向けた理念、目標像が設定された。なお、各エリアとは主に(1)市の都市活力を牽引する「都心部」、(2)都市の成長を推進する「魅力・活力創造拠点」、(3)界隈性のある街空間の中で市民生活が営まれる「広域拠点」・「地域拠点」・「日常生活圏」、(4)豊かな自然環境を継承する「農村漁村地域」となっている。
同基本計画の基本理念には「人に安心、まちに活力、地球にやさしい~コンパクトで持続可能なユニーバーサル都市・福岡を支える交通~」が掲げられ、4つある目標像の基礎となる考え方として「公共交通を主軸とした持続可能な総合交通体系の構築」を挙げている。
実現するか姪浜~橋本駅間
注目したいのが、目標像Ⅱの「都市の魅力・活力を高める交通」の実現に向けたアクセス強化を図る上での中・長期的検討課題として、姪浜~橋本間が挙げられた点だ。両エリア間の交通利便性の向上に関しては、福岡市地下鉄空港線、およびJR筑肥線の2路線が乗り入れる姪浜駅と、地下鉄七隈線・橋本駅の両駅間を結ぶかたちでの七隈線延伸について、たびたび市民や専門家などの間で議論されてきた。
しかし、線路幅などの規格が違う点や、予算の問題、すでに西鉄バスが両駅間の運送を担っていることなどから、同延伸案については困難とされている。それでも姪浜~橋本駅間の延伸が実現すれば、福岡市に地下鉄環状線が誕生することになり、新たな投資を喚起するきっかけにもなる。たとえ七隈線延伸という形ではなくとも、両エリア間における距離感が今後どのように変化していくのか、動向が注目される。
市では23日、「混雑緩和プロジェクト」を始動させ、策定した福岡市都市交通基本計画の実現に取り組んでいる。姪浜~橋本間だけでなく、道路交通の円滑化に向け、那の津通り6車線化や天神通線の延伸など、複数のプロジェクトが進行中であり、同計画の実現とそれにともなう市のさらなる発展を期待したい。
【代源太朗】