(株)FORDELソリューションズ

「AI化を進めないのは愚策」という経営判断
(株)FORDELソリューションズでは、近年、AIの社内活用を本格的に開始している。AIコンサルタントとの顧問契約を結び、現場での実践を通じて試行錯誤を重ねている。
その背景には、「10年後、社会の中で従業員が取り残されないように」という、同社の代表取締役・堤修二郎氏の強い危機感がある。堤氏は「これからの新卒はAIを使いこなす時代。AI化を進めないのは絶対に愚策だ」と語る。スマートフォンを使えない高齢者のように、従業員が技術の波に乗り遅れることのないよう、積極的なAIの導入に取り組んでいる。
段階的に進めるAI導入
社内でのAI活用を本格化させるために、1年半ほど前にAIコンサルタントと顧問契約を締結し、週に一度の最新情報の共有から取り組みを始めた。
実践的な導入の第一弾としては、制作チームで複数のAIツールを活用し、画像生成やコーディング作業の効率化を図った。この取り組みにより、一定の成果が得られたことから、次にメール・コールチームへの導入を進めた。
制作チームでの活用をベースに、顧客対応業務の効率化を目指して開始したが、ここではいくつかの課題に直面した。1つは、業務が複雑であり、完全なAI化が難しいという点。もう1つは、コールセンターにおける人間の対応には、依然として大きな優位性があるという点である。 前者については現在、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とAIを組み合わせた自動化の手法を模索している。後者については、顧客との対話を通じて本音や意図を汲み取るといった、人間ならではの対応力の重要性が実感された。
とくにクレーム対応においては、「誰かに話したい」「聞いてもらいたい」などの顧客心理に寄り添うことが求められる。その点で、AIでは代替しきれない人間の役割が改めて確認され、現場ではAIと人の役割をどう適切に分担するかが、今後の鍵となっている。
AIの最新機能を追いかけない選択
AIの導入により効率化が進む一方で、同社では常に最先端の機能を追うのではなく、情報を選別し導入判断を行っている。新機能を無理に追いかけず、使いこなせるものに集中する―それが実用性を重視する姿勢である。
こうした効率化で生まれた時間は、各従業員の自律性や創造性を育む機会にもなっている。AI活用は省力化にとどまらず、「人にしかできない価値とは何か」を見つめ直す契機となった。顧客にどう寄り添うか、どこに人の力が求められるか、AIの導入は、業務の本質を再定義し、新たな価値を創出する土壌を育てつつある。
【和田佳子】
<COMPANY INFORMATION>
(株)FORDELソリューションズ
代 表:堤修二郎
所在地:福岡市中央区天神3-10-1天神源氏ビル4F
設 立:2013年11月
資本金:300万円
TEL:092-791-3322
URL:https://fordel.jp