石井章参院議員、秘書給与詐欺の疑いで東京地検が捜索~相次ぐ日本維新の会・カネをめぐる問題
日本維新の会の石井章参議院議員(比例)が、国から公設秘書の給与をだまし取った疑いがあるとして、東京地検特捜部は27日、茨城県取手市内の自宅や東京・永田町の国会議員会館の事務所などを詐欺容疑で家宅捜索した。
特捜部は押収資料を分析し、石井氏ら関係者の事情聴取を進め、資金の流れの実態解明を図る方針である。詐取総額は約800万円にのぼるとみられる。
石井氏は取手市議会議員などを経て、2009年の政権交代時の衆院選で旧民主党から出馬して当選。16年の参院選におおさか維新の会(当時)から立候補して当選し、現在2期目。維新では、両院議員総会長を務め、維新の地盤である関西出身以外の議員に影響力をもっていた。
公設秘書は、国会議員1人につき3人まで採用でき、特別職の国家公務員の立場にある。月額給与は30万~60万円で、公費から支給される。通勤手当や住宅手当を含めると年収は700万円以上にのぼるとされる。
公設秘書の給与詐欺事件は、2002年に当時社会民主党所属の辻元清美氏(現・立憲民主党の参議院議員)や、元衆議院議長・土井たか子氏の秘書を務めた人物が逮捕されるなどの事例があり、04年には法改正により厳格化された。
昨年も自民党参議院議員だった広瀬めぐみ氏が、勤務実態のない秘書の給与を国からだまし取ったとして詐欺罪で在宅起訴されており、現在も続く悪弊である。
維新の中司宏幹事長は「捜査には全面的に党としても協力をさせていただきます」と述べた。しかし「身を切る改革」を掲げる同党にとって、あまりにお粗末な話である。「政治とカネ」の問題は自民党だけのものではないということだ。
福岡でも、参院選直前に維新の県支部である「福岡維新の会」が、2023・24年度の2年にわたり政治資金収支報告書を提出せず、県選挙管理委員会から無届け団体とされていたことが発覚した。
政治資金規正法では、政治団体は1年分の収支報告書を翌年3月末までに都道府県の選挙管理委員会や総務大臣に提出することが義務付けられている。収支報告書を2年連続で提出しなかった場合、その団体は「無届け団体」となり、寄付を受けたり、政治活動に支出したりすることが禁止される。
同党の岩岡良・前幹事長(宗像市議会議員)は当社の取材に「報告書の提出をチェックせず事務担当者に任せていた。ダブルチェックをしておらず、幹事長として大変責任を痛感している」と語った。
これは単なる事務手続きの問題というよりも組織のガバナンスが問われる問題だ。今回の秘書給与の詐取も含め、国民の視点で見れば「政治家はずるい」「維新も同じか」と受け止める人が少なくないだろう。政治不信を増幅させる行為は決して許されるべきものではない。
福岡維新をめぐっては、収支報告無届けのほかにも政治資金の在り方に関する問題が指摘されている。
維新の不祥事は枚挙にいとまがない。かつて「第3極」と期待された改革政党としての矜持は、いったいどこへ行ったのだろうか。
【近藤将勝】