大野城市長選挙 元衆議院議員・堤かなめ氏が初当選~リベラル系市長の誕生で期待される変革

 任期満了にともなう福岡県大野城市長選は7日に投開票され、前衆議院議員・堤かなめ氏が、前市教育長・伊藤啓二氏(自民・公明推薦)、元会社員・宮本祐樹氏を破り、初当選を果たした。

堤かなめ氏
堤かなめ氏

 同市長選は、引退する現職の井本宗司市長の後継指名を受けた自民・公明両党推薦の伊藤啓二前教育長と堤氏との事実上の一騎打ちとなった。伊藤氏は、地元県議や自公系の市議などの支援を受けたがおよばなかった。

 堤氏は、国際電信電話(現・KDDI)勤務や九州女子大学教授などを経て、2011年の県議選で民主党の公認で初当選。19年の県議選では立憲民主党公認で当選した。その後、21年の衆院選で福岡5区から同党公認で初当選。24年10月の衆院選では、小選挙区で敗れたものの比例で復活当選した。大野城市長選に臨むため、先月立憲に離党届を提出し、衆議院議員を辞職していた。

 堤氏の政治信条は「ジェンダー平等を通して社会改革を進める」ことで、選択的夫婦別姓の実現など一貫してリベラル系の立場を取ってきた。

 5期20年におよぶ井本市政において、副市長によるハラスメント問題が表面化。また、現在は選択制となっている中学校の学校給食を全員制にすべきだという市民の声も高まっているなかで、市政刷新を求めた市民は、「大野城をアップデートする」ことを掲げた堤氏を選択した。

 福岡県内では、うきは市(24年6月)・大川市(同9月)・八女市(同11月)などの市長選で自民推薦の候補が新人候補に敗れており、保守分裂選挙が多い。リベラル系の市長誕生は珍しく、今後の市政改革が期待される。

 投票率は40.85%で、前回(21年)の選挙を8.84ポイントと大きく上回った。

堤かなめ 無所属・新。当選、1万6,892票。
伊藤啓二 無所属・新。1万4,626票。
宮本祐樹 無所属・新。1,956票。

【近藤将勝】

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