電材業界の経営環境の厳しさ
電材業界もほかの業界と同様に経営環境は厳しい。受注環境は増加傾向にあるのだが、企業存続に対するいろいろな難関が立ちふさがっている。
(1)まず同族会社の3代目あたりになると後継者としての能力がないケースが目立つ。結果、一族会社を売却するはめとなる。
(2)ある程度の事業規模を維持しないと経営存続は不可能となってくる。だから三共電気(株)の場合、当面100億円規模確保に挑戦している。
(3)全国大手の業者が福岡・九州に殴り込みをかけてきており、小規模経営は非常に厳しい局面に追いやられているケースが目立つ。
(4)そして追い打ちをかけているのが、ネット通販の伸長である。だからこそ電材業界でも2代目ないし3代目の一族企業の廃業、M&Aが目立つ。
(5)業界の方の証言も加えると「メーカー、大手問屋が企業売却を促進している」という指摘もある。小売業としては管材業という従兄関係の業種があるが、この業界は一族会社の企業売却が顕著になっている。管材業界のリーダーは「一族会社で生き残れるところは少数派であろう」と近未来を予測する。いよいよ中小・零細企業にとって本格的な淘汰時代が襲ってくるようになった。
オーナーの指導力にはおよばない
三共電気の木原社長の取材に関しては詳細、後述する。まず謙虚に語る。「経営力においてはオーナー創業者・出口守には到底、足元にもおよばない。決断力・指導力の凄まじさを目の当たりにして震えていたこともあった」。創業者が病に倒れ、2代目の重責を引き受けることになった。21歳で入社してから営業業務の先端を走ってきた。出口氏の長女と結婚してオーナー家族の一員となったのである。2代目の命を受けて覚悟した。「指導者としてやれることは社員たちから意見を出していただき、責任をもって業務遂行していただくことである」。これを経営の根幹に据えた。
その積み上げが年商100億円に王手をかけることとなった。「私にとって経営使命は事業継承させることである。企業売却など検討したことなど全然ない」と喝破する。ただしこの基幹方針を完遂するためには「時代の激流を上手に乗りこなさないといけない」ことを強調する。
▼三共電気(株)代表取締役社長・木原和英氏のインタビュー記事
【トップインタビュー】創業者から受け継ぐ精神と新時代に対応する100億円企業への道筋








