有澤建設はどのような人材を求めているか？

地域に根ざしたものづくりに共感し、お客さまや協力会社との対話を大切にしながら、自ら考えて行動できる人材を歓迎している。文系理系を問わず、素直さと成長意欲を重視している。

教育・研修やキャリアアップの支援体制はあるか？

入社後のOJTに加え、外部研修や資格取得支援、若手にも裁量あるプロジェクトを任せる仕組みを整え、現場経験を通じて早期に成長できる環境づくりを進めている。

働き方改革やワークライフバランスへの取り組みは？

時間外労働の削減や業務の標準化・分業化を進めることで、長時間労働に頼らず成果を上げられる働き方への転換を図っている。社員が安心して長く働ける体制づくりに経営としてコミットしている。

女性や未経験者も活躍できる環境か？

現場やバックオフィスで女性社員も活躍しており、未経験者でも段階的にスキルを身につけられるよう先輩社員がサポートする文化がある。多様なバックグラウンドを持つ人材の活躍を推進している。

次の100年を見据える老舗ゼネコン地域・取引先・社員から信頼される会社へ｜有澤建設

NEXT100 未来を拓く企業たち

2025年11月30日 06:00

＜COMPANY INFORMATION＞
有澤建設（株）
代　表：木下英資
所在地：福岡市博多区博多駅南4-4-12
設　立：1967年9月
資本金：9,000万円
ＴＥＬ：092-433-1811
ＵＲＬ：https://arisawa.jp

【目次】

次を見据えた組織づくり 6代目は非世襲を予定
　創業108年の有澤建設が長期視点で組織づくりを進め、非世襲の次期社長登用と権限移譲で持続成長を目指す姿を描く。
ボトムアップ文化の醸成へ学生との連携で育む人材
　高校・大学との探究学習やインターンを通じて、ボトムアップ文化と現場で自律的に動ける若手人材を育てる取り組みが進む。
紹介案件も増加信頼を生む柔軟な対応力
　紹介案件が増える背景にある、現場の高いコミュニケーション力と柔軟な対応力、協力会社との信頼関係づくりの姿勢を浮かび上がらせる。
働き方改革と人材定着への覚悟
　働き方改革関連法への対応を機に、人材育成への投資と定年まで安心して働ける環境づくりに覚悟を持って挑む経営スタンスを示す。
求人情報

次を見据えた組織づくり
6代目は非世襲を予定

　2025年で創業108年を迎えた老舗ゼネコン・有澤建設（株）は、「品質へのこだわり」「安心・安全へのこだわり」「地元へのこだわり」をモットーに、福岡のまちづくりに貢献してきた。幅広い用途の建築物を手がけられる設計・施工力に定評があり、毎年多くの竣工実績を重ねている。

その強みについて、代表取締役社長・木下英資氏は次のように語る。「敷地の形状や法令上の制限など、物件ごとに条件は異なりますが、そうした制約を逆に強みに変えられるような提案を心がけています。もちろん契約の枠を超えないよう配慮しながら、お客さまの想いを実現するため、設計や工務だけでなく営業や事務まで、社内全体で知恵を出し合っています」。

　木下氏は10年に40歳で5代目社長に就任した。当初から自らを「20～30年後の会社の姿を描く役割」と位置づけ、長期的な組織づくりに注力してきた。すでに次期社長の選定にも着手しており、6代目社長は社内からの「非」世襲による登用を予定しているという。

　「そのために社内の体制強化や権限移譲を進めてきました。私が現役でバックアップできるうちに次の世代にバトンを渡し、会社を持続的に成長させていきたいと考えています」（木下氏）。

ボトムアップ文化の醸成へ
学生との連携で育む人材

　有澤建設が目指すのは、社長主導ではなく、現場から意見が上がってくる“ボトムアップ型”の組織文化だ。その一環として、近年力を入れているのが高校・大学との教育連携である。20年からは、地域の課題に取り組む高校生による「探究型フィールドスタディ」の受け入れを開始。建設業に関する講義をはじめ、工事現場の見学や現場監督による説明などを通じて、学生にリアルな業界体験を提供している。

　また、地元大学生を対象としたインターンシップでは、実際のリノベーション提案や、営業から受注、施工、竣工までの一連の流れを学べる機会も用意している。

　「学生のフレッシュな視点は、社員にとって良い刺激になります。私は基本的に報告を受けるだけで、口を出さないようにしている。それが本人たちの成長につながると思っています」と、木下氏は人材育成への期待を語る。

紹介案件も増加
信頼を生む柔軟な対応力

　売上高は24年8月期に91億円、25年8月期に70億円超を計上し、木下氏の社長就任当時と比べて、事業規模は約4倍にまで成長した。市況も一因ではあるが、それ以上にこれまで地道に進めてきた組織力の強化が実を結んだ成果だといえる。

　「ありがたいことに、最近ではお客さまや取引先からの紹介による案件が増えています」（木下氏）と言い、とくに評価されているのは、現場担当者のコミュニケーション力と柔軟な対応力だ。

　「図面通り」「予定通り」ではなく、「どうすればお客さまにとって最適か」を常に考える社風が根づいており、オーダーメイドの建物づくりにおける強みを支えている。加えて、協力会社との関係づくりにも力を注いでおり、協力業者からも「工程管理がしっかりしている」「対等な立場で本音の話ができる」といった声が聞かれる。

働き方改革と
人材定着への覚悟

　建設業界では慢性的な人手不足が続いており、24年4月からは時間外労働の上限規制を含む「働き方改革関連法」が本格適用された。かつては長時間労働を通じて早期に一人前に育てることが可能だったが、今はそれが通用しない時代。人材育成には、より多くの時間とコストが必要となっている。

　こうした時代の変化に対しても、木下氏は前向きに取り組む。「たしかに人材育成にはコストがかかりますが、それを惜しんではいけないと考えます。社員が安心して定年まで働ける環境を整えることも、会社の責任です。社員が誇りをもてる会社にするために、15年間、組織づくりに力を入れてきました」。

有澤建設（株）創業108年という長い歴史を持つ有澤建設だが、その歩みは決して保守的ではない。地域とともに成長し、未来を見据えて変化に柔軟に対応しながら、次の時代を担う人材を育て、持続可能な組織へと進化を続けている。「社員が誇れる会社にしたい」──木下社長の言葉には、地域と人、そして建設業の未来を見据えた強い意志が込められている。