2024年11月25日( 月 )

代議士、ダブル選挙へ走る!「消費税凍結」、先に言うのは自民か民主か

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fukei 保育料の減免拡大や若者の正社員化拡大などのバラマキ色の見える総額96.7兆円の過去最大の予算案が12月24日閣議決定され、永田町は2016年1月4日の国会招集を待つばかり。年末に取材した国会議員や秘書が慌しいのは、師走のせいばかりではない。16年夏の参院選挙で改選の参院議員だけでなく、衆院議員も衆参同日選挙へ向けてすでに動き始めている。
 「ダブル(選挙)です。もうピリピリしています。こんな年末は初めてです」(衆院議員秘書)。
 それはそうだろう。衆参ダブル選挙は、過去2回しかない。いずれも1980年代だから、当時の経験者は今では少なくなった。
 過去2回はいずれも自民党が圧勝している。1980年の「ハプニング解散」では、選挙中に大平正芳首相が急死したこともあり、284議席を獲得。1986年には中曽根康弘首相の「死んだふり解散」で300議席という過去最高(当時)を獲得。その功績で、党総裁任期満了間近だった中曽根首相のために、自民党は当時の党総裁任期を特例で1年延長した。安倍首相にも、2020年東京オリンピックを首相として迎えるための任期延長の党則改正のプレゼントが待っているかもしれない(安倍総裁の任期は2018年9月までで、連続3期が禁じられている)。

 安倍首相にとって、「安保の岸」と「経済の池田」の両方を乗り越えるには、9月に成立させた安保法制の次に憲法と経済をやるしかない。
 首相は9月、憲法改正を次の参院選の争点とすると明言、11月には、「創生日本」の会合で、憲法改正を立党の原点だと語って強い意欲を示している。橋下徹前大阪市長とは市長退任直後に長時間会談するなど、改憲勢力の結集にも熱心だが、衆院で3分の2を占める改憲勢力も、参院では不足。参院選の結果が、改憲の成否を左右することになる。

 対抗する野党や市民勢力は、安保や憲法をめぐって野党共闘を探る。安保法制に反対したSEALDsの若者や学者、市民らの有志が安保法制廃止と立憲主義を回復する市民連合を結成し、野党共闘を後押しする。熊本選挙区では、市民の要請を受ける形で、野党統一候補が出馬表明した。共産党も、これまで「天皇陛下のお言葉」を理由に欠席していた国会開会式に出席する方針に転じるなど「共産アレルギー」除去に腐心している。
 民主党の岡田克也代表も、改憲勢力の3分の2獲得を阻止する姿勢を打ち出し、憲法問題が参院選の焦点になるのは間違いない。

 経済では、懸念材料に急浮上しているのが消費税10%問題だ。
 10%への引き上げ時期となる17年4月が視野に入ってきたが、経済へのマイナスは避けられそうにない。消費税増税が不況や景気後退を招くのは、1997年の橋本内閣、14年の安倍内閣と経験済み。自民、公明は1兆円に上る財源の問題を先送りして、軽減税率導入で決着したが、消費税を10%に上げられる経済環境ではないというのが実情だ。
 国会議員は、景気後退に陥れば有権者からの批判の矢面に立たされる。増税先送理が本音の国会議員からは「凍結を言い出せる空気をつくってほしい」という“陳情”まで飛び出している。
 衆参ダブル選挙が確実視される2016年、「消費税増税凍結」を先に言うのは、自民党か民主党か。安倍自民党が圧勝を確実にするか、はたまた、民主党が再生の足がかりにするか。言った者勝ちだ。

【秋山 広】

 

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