全管協及び自民党ちんたい支部連合会が推進する党員募集に政治資金規正法違反の疑い浮上(7)
第3回記事は「九州の事例」、第4回記事は「関西の事例」、第5回記事は「北海道の事例」、第6回記事は「鹿児島・熊本、そして東京の事例」を紹介した。鹿児島・熊本・東京などに見られた自民党員退会や、全管協本部と一線を画する動きは全国に波及している。
これまで多くの都道府県で、全管協本部の圧力と自民党ちんたい支部連合会の不適切な説明によって、他人の党費を支払っている実態があることを報じてきた。
高橋氏が自民党本部で3万人の党員を獲得すると表明
自民党総裁選は事実上、我が国の首相を決めることになる。総裁選は公職選挙法による規制の対象外ではあるが、組織票が総裁選の結果を左右することは間違いない。
自民党賃貸住宅対策議員連盟(ちんたい議連)のホームページで公開されている動画を確認した。近年の動画は公開されていなかったが、2016年11月に自民党本部で開催されたちんたい議連の会合で、全管協会長・自民党ちんたい支部連合会会長である高橋誠一氏が、ちんたい支部の職域党員3万人を目標に獲得すると表明している場面があった(04:12)。
https://www.youtube.com/watch?v=8iqG-M8qCvk&t=252s
動画のなかで高橋氏は、16年の時点で自民党ちんたい支部が獲得した自民党員数が2万8,434名であり、新規入党者6,019名、継続は2万2,415名であることを紹介しつつ「3万人を超えたいなと思っています」と決意を語っている。16年7月に参議院選挙が行われており、全管協およびちんたい支部の組織力を示す絶好の機会であった。
高橋氏と近い関係にある石破茂氏は同年8月の内閣改造まで地方創生担当の内閣府特命担当大臣を務めていたが、会合時点で、ちんたい議連の会長となっており、動画には3万人の党員獲得にお礼を述べる場面も出てくる(01:25)。
https://www.youtube.com/watch?v=8iqG-M8qCvk&t=85s
「お世話になっている賃貸(業界)の皆さまにきちんとお返しをするよう体制を整えてまいりたい」。
利権と関係が薄いとされる石破氏だが、「業界の皆さまにきちんとお返しをする」と述べたほど、全管協や自民党ちんたい支部の組織票は重要なものなのだろう。
会合から2年後の自民党総裁選で石破氏は安倍晋三氏と総裁の座をめぐって戦っている。18年の総裁選で安倍氏 553票(国会議員票329票・地方票224票)に対し、石破氏は254票(国会議員票73票・地方票181票)であった。国会議員票は、安倍氏が圧倒したものの、地方票(党員票)では全体の約45%を獲得しており、そのなかには全管協および自民党ちんたい支部の持つ党員票も含まれる。
政治家にとって選挙の当落は生きるか死ぬかの問題である。だがその陰で、無理な党員獲得ノルマを課された事業者の立場はどうなるのだろうか。
12年前から党費を立て替えてきた
多くの都道府県の全管協に加盟する事業者らから証言や証拠を受領しているが、5月中旬、西日本のある県の全管協会員が社名と都道府県名を明かさないことを前提に取材に応じた。ここでは全管協加盟企業の代表者Aとする。
Aは全管協からの自民党員獲得ノルマにより、約12年前から今日まで自社で党費を立て替えて支払い続けてきたという。
「従業員などの党費を会社で全部立て替え、次年度以降の年会費の更新分も会社で支払いました」と述べたうえでさらに「辞めた社員のお父さん、お母さんの名前まで(自民党員のリストに)残っていると思います」と語った。
繰り返しとなるが、このような問題が生じている根本的要因は、全管協本部や自民党ちんたい支部連合会が行っている、全管協会員に対する不当な「圧力」と「不適切な説明」である。その結果、多くの全管協会員が被害者となっている。このような状況を変えるべく、25年11月、全国の全管協会員有志が「全管協をよくする会」を結成し、全管協執行部に対して、第三者委員会の設置と自民党員獲得に関する問題などの実態調査を求めている。執行部は早急に第三者委員会を設置し、実態調査を行うべきだ。
さらに当社が取材を進めていくなかで、福岡県内においても他県同様の実態があるとの証言を得た。近日詳細を報じる予定である。
(つづく)
【近藤将勝】








