YKKに下請法違反で勧告 21事業者への工賃設定で「買いたたき」

 23日、公正取引委員会はファスニング製品大手のYKK(株)(東京都千代田区、松嶋耕一代表)に対し、下請代金支払遅延等防止法(下請法)に基づく勧告を行った。同社が下請事業者に委託していたファスニング製品の加工や製造工程中の検査業務において、著しく低い下請代金を一方的に設定していたことが「買いたたき」に当たると認定された。

 公取委によると、同社は2023年7月4日から25年11月27日までの間、21の下請事業者に対し、ファスニング製品の加工や検査業務を委託していた。同社はあらかじめ、「下請代金=発注単価×発注数量」の算定方法を説明していたが、実際には下請事業者の作業実態に基づく作業可能回数よりも多い回数を用いて発注単価を算出し、下請代金を決定していた。

 その結果、実際に支払われた下請代金は、本来支払われるべき対価と比べて約9.0%から72.5%低い水準となっていた。また、一部の作業では、実際の稼働時間から換算した時間あたり報酬額が富山県の地域別最低賃金を下回っていた。

 公取委によると、発端は下請事業者8者からの値上げ要請だった。事業者側は、YKKが設定する作業可能回数と実際の作業可能回数に乖離があるとして、49作業について発注単価の引き上げを求めていた。これを受けて同社も実態調査を行ったが、製造原価の増加を懸念し、発注単価が自社の許容範囲内に収まるよう数値を設定したうえで、下請事業者に説明することなく単価を決定していた。

 その後、同社は下請事業者との協議を経て単価を見直し、25年12月24日に23年7月4日まで遡って49作業の発注単価を引き上げた。差額分として21事業者に対し計2,654万6,794円を支払っている。

 勧告では、今後、中小受託事業者に対し通常支払われる対価と比べて著しく低い代金を不当に定めないことを確認することや、過去の取引実態の調査、発注担当者への研修など再発防止策の実施を求めた。

 なお、下請法は26年1月の法改正により「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律(中小受託取引適正化法)」へと改称されているが、本件は改正前に行われた取引であるため、従来の下請法が適用された。

【寺村朋輝】

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